国家の責務

◆世界の中心で左右をヲチするノケモノ
「家族会の目的を、周囲が取り違えてはいないだろうか」
(id:plummet:20050914)

ちょっと最近の拉致問題に関する「周辺の言」が、やけに政治的、というか党派的だなあという印象がある。この問題が政治的側面をはらむのは、単にこれが政治的プロセスを経なければ解決できない(個人や民間のレベルにない)だけの話で、被害者家族の立場からすれば、「連れ去った家族を帰せ」という、非常に個人レベルの理由でしかない。
 
またそうした側面から、解決プロセスを実行するのが日本政府でしかない以上、「どこが政権を取っていようと」政府の責務は変わりない。“「北朝鮮による拉致被害者の救出」は日本国民にとっての絶対善となった”のならなおさらである。
 
だから、家族が声を向ける対象は常に「時の政府」であり、小泉、自民党というキーワードが頻出するのは、「たまたま」現在の与党が自民党だから、第一次の被害者帰国の糸口をつけたのが小泉だったという以上の理由はない。
 
また、家族奪回は政府の責務なのだから、一部とはいえ被害者とその家族が帰ってきたからと、家族が政府与党に「恩義を感じる」必要は、道徳的に求められる以上のものはないはずだ。政府は自らの(長い間放りあげっぱなしだった)責任を、ごく一部果たしたに過ぎないのだから。
 
それでも、周辺にとっては大手柄かもしれない。小泉よくやった、過去の政府がないがしろにしていた問題によく取り組んだと拍手を送りたいかもしれない。が、小泉支持を標榜する俺も、これに関して小泉首相を必要以上に褒めるつもりはない。なぜなら政府にとっての「当然の責務」がようやく果たされただけの話であり、小泉首相はその政府を代表する立場にいる人間であるというだけの話だからだ。
 
そして、家族にとっては、これですら「あまりにも遅すぎる」のだということを忘れてはならない。被害者の第一陣が帰国したことが誰かの「手柄」に見えるのは、周辺の人間だけである。家族にとっては、“そもそも拉致などされてはならなかった”ということを忘れてはならないのだ。

感動した!なーんて。小泉総選挙勝利の勢いをかって、家族会を攻撃し始めた2chのニュース速報板とかこういう小泉信者系ブログが「北朝鮮による拉致被害者家族会代表の横田滋さん、娘の奪回を断念する」などというおぞましいタイトルで横田さん夫妻を批判する論調が、雨後の竹の子のように溢れ出ているわけですが。「周囲の言」の周囲って一体誰と誰の事だい、という素朴な疑問はあるものの、小泉ファン系のブログからこういう冷静な意見が出た事はそれなりの評価をする。それなりだけどね。