参考になる郵政民営化反対論

◆経済@2ch掲示
(http://money4.2ch.net/eco/)
ニュー速や東亜板ばっか見てると脳がマヒしそうなので。その話題となる対象は少なくとも政(まつりごと)よりは具体的なマネーなので、これらの板の住人よりは郵政民営化の馬鹿げた政治劇を冷めた目で眺めているようです。
 
◆第38回 海外メディアが伝えた小泉・郵政解散劇の評判 - nikkeibp.jp - 立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」(http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050811_kaigai/index.html)

しかし、その後にひきついだ第2ラウンドの経済戦争という戦争において、日本はアメリカに連戦連勝し(はじめは勝たせてもらった)、あわやアメリカをノックダウンしかけるところまでいった。そのアメリカが反撃し、日本はバブル経済を徹底的につぶされ、ほとんど破産しかけながら、なんとか踏みこたえているというのが現状ということにある。
 
その流れの中にあって小泉改革とは何か。
 
日本の戦後の経済的成功を支えた国家体制=国家資本主義体制(1940年体制)の根幹部分は、世界最大の銀行たる郵貯などがかき集めた郵政マネーを国家が中心となって公共事業に投資して回転させていくという行為それ自体によって日本経済の根幹を支えていくという国家中心の資本主義体制にあったわけだ。
 
日本の経済力をつぶそうと思ったら、この根幹部分をつぶすほかないと見抜いたアメリカのプレッシャーと願望と、たまたま郵政省と郵政族に深い恨みを持った、ちょっと頭の弱いポピュリスト政治家(小泉首相のこと)の望みが一致してはじまったのが、小泉改革の4年間とその頂点としての郵政民営化大騒動だったということではないのか。

他のいかにもな部分を抜きにすれば(立花隆だし)、こうした指摘は反対派には共通してます。
 
増田俊男の時事直言!315号(05.08.17)「郵政民営化バブル崩壊!」
(http://chokugen.com/opinion/backnumber/h17/jiji050817_315.htm)
 
郵政民営化は国民と日本経済に危機をもたらす

竹中郵政民営化担当大臣が云うように、はたして「官(郵政省)で管理している約350兆円を民(民間営利法人)に移管すれば日本経済は活性化する」のか。実は、郵政民営化されたからといって、即日本経済が活性化するとは限らない(アメリカは確実)。「官の元で寝ていたカネが民間で生きて使われるのだから日本経済にプラスになる」などという簡単な話ではない。
 
実際にマネーに携わっている市場関係者なら誰でも実感していることだが、「不要なマネーサプライは百害あって一利なし」。今までもそうだが、これからも日本経済はその規模と成長性から300兆円を超える資金など一切必要としない。日銀はゼロ金利解除後超金融緩和政策を採り続けているが、金融機関の貸出は年4−5%の割合で減っている。返済額が貸出額を上回っているからである。

現在、日本の国の借金(国債)約700兆円の93%は国内(広義で国民)で保有されている。自国の国債のほとんど全部を国民が支えている国は世界中で日本だけである。アメリカの場合、米国債の45%は外資保有されている。一家の借金を身内が受け持っている国と、家が発行した手形(債権)を他人に持たれている国とでは大違いである。
 
日本では、お父さんが会社に行こうと思ったら借金取りが玄関で待っていたというリスク(心配)はない。アメリカは世界最大の債務国だから、一歩家を出たら借金取りが行列していても不思議でない国。中でもアメリカの最大債権国は日本。だから日本はアメリカにとって最大のリスク国であり、最も危険な国なのである。「双子の赤字」(黒字転換の可能性ゼロ)のアメリカは日本から破産をかけられたら即刻破綻する運命にある。アメリカはどんなことがあっても日本に債権請求権行使(債券市場での米国債売り)の自由を与えてはならない。そのためには日本の政治・経済を完全にアメリカの支配下に置く必要がある。
 
「日本の安全を守る」など根も葉もないこと(安保条約を英文で読めば自明)を日本人に信じ込ませ、日米安保の名の下に米軍基地を日本国内に日本の経費負担で配置(軍事支配)している。また「日本の財務省アメリカの財務1課だ」と云われるように、政府・日銀の政策はアメリカのために存在していると云っても過言ではない。

 
民営化で日本はどうなる

郵政民営化で日本に何が起きるか。第一は日本の「国債リスク」である。日本の公債は現在約700兆円ある。今までは郵貯簡保資金が国債を買い続けてきたため、日本の国債は外国にほとんど保有されていない(国内保有率93%)。アメリカのように約50%の国債が他国に持たれていると、アメリカのように世界一の軍事力を持たない限り、国債リスクひいては経済破綻の危機は避けられない。専守防衛で国権の発動で自国の安全が守れない日本は、郵貯簡保資金で日本を「国債鎖国」にして経済の安全と「国民の貯金箱」を守ってきた。

郵貯簡保資金が民間営利組織に移管されると、国債購入の判断は(国家ではなく)企業利益がベースになる。もし経営者が国のための判断を下し、それが企業にとって不利益になったら経営者は背任罪で株主訴訟の対象になる。だから民営化されたら日本の国債リスクは避けられない。日本は国民の金融資産が1400兆円以上ある中で、公債総額は「たったの半分」である。「政府は国民の余っている金のうち半分を借りているに過ぎない」のである。おまけに日本(国)は外国に金は貸していても借りていない。
 
このように日本の国債外資から守り(外国から借金をせず)、超健全な債務環境を守りぬいてきたのが、まさに郵貯簡保! 郵便サービスは世界に誇れるほど親身、郵便局は民間銀行のように潰れない、安心して「虎の子」を預けられるし、日本人なら誰でも万一の時の保証を国家がしてくれるから安眠できる。一体、世界のどこにこれほどの「国民と国家に優しい制度」があるだろうか。

これらの論文を単なる“陰謀論”と片付けて良いものだろうか。小泉の政策を手放しで絶賛する人は、せめて民営化で得られる“具体的な”メリットを説いて欲しいものである。
 
こんな本もあります。

円の支配者 - 誰が日本経済を崩壊させたのか

円の支配者 - 誰が日本経済を崩壊させたのか

アメリカの陰謀があったかどうかはともかく、「構造改革」という名の下で、日本でどういった金融政策が行われてきたのかを指摘する良書だと思います。同時に今の小泉政権やその支持者が説く「小さな政府」というスローガンの嘘臭さに気付くでしょう。