「UDON」観てきました

昔、四国にツーリングに行った際に、香川県の店を食べて周ったほどの讃岐うどん好きの俺にとってはかなり注目の映画でした。なんだかフジテレビが最近宣伝に力を入れてるな、と思いつつ予備知識がほぼ無い状態で、しかもあまり期待しないで行ったので、その出来の良さにビックリ。ユースケ・サンタマリアがいつものテンションで騒ぎまくるお気楽ムービーだと思ったら、かなりしっかりとした邦画だったんでね。
 
ニューヨークで芸人になって活躍するという夢が破れ、故郷香川県に戻る主人公。「ここには夢がない、あるのはうどんだけだ」と言ってアメリカに飛び出した息子を厳しい目で見つめる、製麺所(&うどん屋)で黙々と何十年も讃岐うどんを打ち続けて来た父。借金返済の為にミニコミ誌で働き始めるが、地元の名物“讃岐うどん”の特集が無い事に着目。通常のお店紹介とは切り口を変えた記事で人気を博し、東京からもマスコミの取材が押し掛け一大ブームが巻き起こる、という話。
 
 
・・・・・・と言っても、これはまだ前半のあらすじ。いや、俺もこれで終わりなんだろう、と思ってたんだけどさ。単なる「讃岐うどんフィーバー!」じゃんじゃん♪な映画だとしか捉えてなかったし。しかし後半からこの邦画の真骨頂。
 
ネタバレが少し有る為、これ以上読みたい方は[続きを読む]をクリックして下さい。結論を先に言うと、不覚にも泣いてしまったんだよ、実は。
 

※画像は映画とは関係ありません。
 
物語も中盤を過ぎると、主人公やその友人達も熱狂の中で走り回っている最中にも「終わらない祭りはない」と冷静になっている。ブームを作り上げるマスコミの報道も、ブームに乗って店に押し掛ける人々もいつかはいなくなる。その時に自分達はどういう道を歩むべきなのか・・・という悩みを主人公達は抱える事になる。ここに来て、ようやく映画のテーマがグっと締まってきて良い感じになった。
 
ブームに踊らされた結果、手を抜く店や周囲に迷惑を掛ける事を苦にし閉店を決断する店が増え、結局ブームは廃れ、ミニコミ誌も潰れるが、主人公が製麺所を継ぐ決意をしたところで、突然父は急逝する。そこで“父の味”を取り戻す為に主人公が努力して技術を磨いたり、“父の味”を慕っていた人々の協力や応援が色々あったり・・・と少し「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」っぽい風味も出てくる。んで、ラスト近くでは浅田次郎原作「鉄道員(ぽっぽや)」っぽいテイストがあったりして、涙腺が緩んだ。キちゃったね。あまり具体的には述べないけど、最終的に主人公が選んだ“己の進む道”は、観客も薄々とは気付いていただろうと思う。ヒント:仮面ライダー響鬼明日夢くんパターン(←モロバレ)。

RAH(リアルアクションヒーローズ) CAPTAIN UDON(1/6スケール ABS&ATBC-PVC塗装済み可動フィギュア)

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わお。こんな商品展開もするんだ(笑)。キャプテンUDONとは主人公が子供の頃に作り出した空想上のヒーロー。劇中で突然、映画版「キャシャーン」ばりにCGと実写が融合したムービーが流れるのもこの映画の肝。「ブレードランナー」っぽい町並みなものだから、ひょっとしてあのセリフのパロディが聞けるのかな、と思ってたらやっぱりキタ!「二つで充分だろうがぁ〜〜〜っ!!!」 
 
とにかく自分にとってはかなり“当たり”の映画でした。出演している役者の演技力が高いし、カット割りもうまいな、と。うどんフィーバーでてんやわんやとなっているパートでは、画面が最大20分割ぐらいされて、もう目が追いつかないくらい。相当な演出力だなーと思って帰り際にプログラムを買って読んでみれば、あの「踊る大捜査線」の本広克行監督作品だった事に初めて気付いた。どうりで。そりゃ面白いはずだわ。映画の中では、フジテレビが協賛してアナウンサーが多数出演しているにも関わらず、マスコミをチクっと皮肉る描写があったりと、結構バランスが取れていると思う。しかし朝のワイドショー「とくダネ!」の中での語り、の設定の中で、司会の小倉久寛が「讃岐うどんブームはただのブームじゃなくて根付いたものだから、ずっと残っていくだろう」みたいなセリフを話していたので、実はこれが映画のオチに対する一種のネタ振りであり、小倉さんは以外に美味しい役どころを貰ったな、と思ったり。
 
映画の半券でうどんが50円引き、という事で久しぶりに「はなまるうどん」を食ってみた。この映画のスポンサーを務めているらしい。
恐るべきさぬきうどん―麺地創造の巻 (新潮文庫)

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恐るべきさぬきうどん―麺地巡礼の巻 (新潮文庫)

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この本が元ネタなんだってね。買っちゃお。