さあ、拉致問題の幕引きショーが始まるよ!

以前、こんな事を書きました。
 
◆六者協議、作業部会でゴネて分科会に持ち込み作戦
(id:kikori2660:20070206#1170773031)

さんざ「日朝部会はイヤだ、核についてはアメリカと話し合えば十分なんだから、お前達と話し合う必要はない!」と喚いた後、北朝鮮からもしくはまたもや日本側から「それじゃあ、また拉致問題と経済支援(賠償金)&国交正常化を切り離した分科会なら応じても良いよ?」という話になるだろう。もちろん進むのは「(3)「過去の清算」を含む国交正常化」ばかりで、拉致問題は解決済み、という姿勢を変えるとは思えない。

小泉政権時に日本側から持ち出された、作業部会から更に細かく切り分けた「分科会」。この拉致問題解決を置き去りにする可能性が非常に高い、“国交正常化ありき”の外交。それがいよいよ実現するようです。
 
「拉致」「補償」並行で 日朝部会 事前協議

6カ国協議の日朝国交正常化に関する作業部会は6日午前(日本時間同日午後)、ハノイ市の日本大使館事前協議をし、1年1カ月ぶりの日朝政府間交渉が実質的にスタートした。
 
事前協議では、7日からの公式協議を前に、議題の設定や協議方法などを調整。日本代表の原口幸市・日朝国交正常化交渉担当大使は、日本人拉致問題と、北朝鮮が求める日本の植民地支配に関する過去の「清算」を中心とした国交正常化を議題に、それぞれ分科会を設けて並行協議することを提案する方針だ。
 
北朝鮮は「拉致問題は解決済み」との立場を繰り返しており、協議に臨む宋日昊ソン・イルホ)日朝国交正常化交渉担当大使がどのような対応をするかが焦点になる。
 
原口氏は事前協議開始前に「拉致問題で十分(議論)できるようにしたい。北朝鮮は過去の清算に関心を表明してきたから、その辺をバランスよく実現できることが重要だ」と記者団に述べた。

“並行”と言えば聞こえが良いが「拉致問題は解決済み」と言う主張を繰り返す北朝鮮に迎合し、とにかく国交正常化を目指して外交成果を得よう、という小泉時代から寸分も変わらぬ売国外交である。
 
拉致問題の解決は、非常に危険な水域に入っている。だが、安倍自民党を応援する事が目的化してしまった救う会、一部の救出運動支援者の反応は相変わらず薄い。何故、小泉外交を批判しながら同じ手法を踏襲する安倍外交の批判は出来ないのか。既に、日本政府による北朝鮮支援の為の動きは始まっている。これも小泉時代と全く違いは無い。
 
対北支援の是非、拉致再調査結果で判断…政府方針

だが、塩崎官房長官は「調査と情報提供の約束だけでは進展とは考えない」としており、政府は北朝鮮の再調査結果や情報が〈1〉科学的、客観的根拠に基づく〈2〉既に帰国した拉致被害者から聴取した情報と合致する――ことなどを判断の基準とする。

拉致被害者蓮池薫さんが北朝鮮においてどのような地位におり、どのような活動をしていたか、未だはっきりとさせようとすらしてない日本政府が一体どうやって情報を精査しようというのか。そして(1)の科学的、客観的根拠とは何か。また、完全に焼却された偽遺骨を受け取らされてその遺伝子を延々と調べるのか。それだけならまだしも「日本側を納得させる、全て死んでしまったという証拠を出せ」と同義のこの提案は、今現在生きている拉致被害者の生命すら危険に晒す事になる。安倍賛美にかまけている内に、かつて批判したこのやり方についての意見まで忘れてしまったのか。
 
辺真一のコリア・レポート「3月5日(月)」

北朝鮮側が再調査を約束すれば「前進」、それも日本側捜査当局者が参加しての再調査を受け入れれば、「進展」とみなす動きもあるようです。仮にこれで合意ということになれば、結果は目に見えています。合同捜査は警察官が誘拐犯と一緒に誘拐された被害者を探すようなもので滑稽極まりありません。見つかるはずはありません。まるで茶番劇です。麻生外相は日本側捜査当局者が参加しての再調査を要求していく考えを明らかにしていますが、北朝鮮が仮にこれに同意するとすれば、「遺骨の発掘」など「死亡」を前提とした「捜査」ということになりかねません。日本自らが北朝鮮に「助け舟」を出すようなものです。

救出運動支援者には非常に評判の悪いピョン先生。でも、上で述べたおかしな連中に比べればよほど、物事の判断能力はありそうです。