お仕事とかゲーム業界の話とか

某携帯機で海外移植版の作業開始。グラフィックの作業量自体は大した事無いが、外国語に訳すと文字数が増えるから、デザインを大幅に変える必要が出て来るから怖い。まあ、ハングルの訳の分からなさに比べるとだいぶ楽らしいが。
 
そう言えば、それとは別の、昔関わった半島絡みのゲームは酷かった。街をうろついていると、突然、ウェイトレスの格好をした歩行者に「喫茶店のメニューには写真を載せると良いニダ」と話し掛けられるという。こっちはただの旅行者なのに!
 
 
以下、色々不穏な話。
 
ITmedia News『スク・エニグループ、人員を10〜15%削減 「体質強化のため」

人員削減は、「部門の閉鎖や縮小、撤退に伴うリストラではなく、組織活性化のため」と和田社長は強調する。グループの規模拡大に伴い、「マネージメント力が弱くなって組織が有機的でなくなり、パフォーマンスが落ちている」という。「少数が精鋭を作ると信じている。人員削減で生産性は上がる」

 
◆Kotaku JAPAN『カプコン竹内さん「日本のゲーマーは好奇心を持って欲しい」

日本のユーザーは、こちら(作り手)が道を用意して、面白いモノを与えてくれるのを待っている感じがします。しかし、オンラインの問題は、ユーザーがまず動かなければ始まらないんです。ドアを開けてくれる人はいません。そこに入るかどうかは自分が決めることです。

 
切込隊長BLOG「スクウェア・エニックスのリストラ話

業界の大きさや成長性に比べて自称大手が多すぎる、だから提供する品数を市場適正数に落とすために業界を再編するというのは製薬業界もゲーム業界もほぼ同じ発想で進める部分ではある。ところが、ゲーム業界の場合はプラットフォーム戦略如何で開発費が何千万ドルにもなってしまうため、世界市場で戦う会社にしていかないと資本市場から駄目出しを喰らってしまう。中堅メーカーという概念は国内市場に張りついて、国内で良作・佳作という評価を貰い続けながら少しずつクオリティを落として頑張っていくしかない。零細は開発のブティックハウスにならざるを得ない。そういう生態系になってる。

事業性の観点から言うならば、ゲーム業界は濡れ切った雑巾も同然。まだリストラの余地は山ほどあるし、分業する方法や大手同士がバックオフィスを共通化するような流れなんて当然考えなければならない。スクエニがリストラした、というあたりで驚いてちゃ駄目だ。あっと驚く中堅か準大手がコケかねん。作品を作りたいけど企画を社内で通せなかったクリエイターやPやDが山ほど労働市場に出てくる。そっからが本番だと思うけどね。

 
島国大和のド畜生「構造不況って、構造が悪いと解っていてもどうしようもないからツライ日記

短期スパンで当たったのは外注制作が主、とい状況を長らく歩んできたわけで。
そういう状況下、あの規模の会社が、開発を抱える意味がどれぐらいあるか、という事を考えると、ドラクエのように大型タイトルをエサに外注を使い潰していくプロジェクトの方が明らかに美味しいよな!と経営者陣が思うのも仕方ない。
だがしかし、お前それでいいのかよ!?
という突っ込みが出るのは避けられないと思うわ。
日本最大のゲーム会社なんだからさ。それなりの振る舞いが求められる。

大手にはもうちょっと頑張ってもらわんと困るよなーと嘆息。某社とかは某カントク様とかに湯水の様に金を使わせておきながら、外注を搾り倒すテクが素晴らしいので、社内の栓をしっかり閉めれば、大手の中では一番安定感が高い印象。それで名作が生まれるかと言えば疑問だが。そりゃ安かろう悪かろうですよ。
 
リストラ問題当事者の某社からPやDが大量流出、ってのはちょいと疑問かな。外使うんなら、外を回す人間もそれなりに必要なんで。しぶといヤツはしぶとい。むしろ現場のグラフィッカーの動きが激しくなりそうな。アソコって、ひたすら召還獣が登場する際に割れる地面を延々と作り続けたり、ウン年以上、フィールド上で流れる川のアニメーションを付けている人がゴロゴロいるらしいから。とは言っても、そのグラフィッカーの腕が無いわけじゃなくて、他の中小ゲーム会社に行けば十分トップ張れるぐらいの実力はあるという。一昔前は、CG業界で腕を磨いたクリエイターは、この某社にバスバス引き抜かれてたからなー。
 
んで、やっぱ生き抜く為に海外市場の話になるけど、切込隊長のブログの方のコメント欄に「ゲーム業界だったら、日本語化するのが簡単な部品というのかな、これはオープンソースにして、これを組み込んで作るよう海外に外注にだして、そして、日本国内で日本語化すればいいんですよ。」なんて意見があったりして、これは面白いと思った。実際に某社なんかは、最初から英語版で作っちゃって、国内向けには「日本ローカライズ」を開発しちゃってるらしいんだわ。まあ、大手にしか出来ん芸当ですな。ゲハ的な感覚だと360は死亡ハードになっちゃってるけど、全世界での普及率を考えるとマルチ対象ハードとして「外す選択は有り得ない」んだそうで。それを聞いて、俺もあーゲハ脳に犯されてるな、と気付かされた(苦笑)。
 
それはそうと、某社の「ベヨネッタ」とか某社のJRPGとか、何故吹き替えじゃなくて字幕かと言えば、日本語→英語のコストの削減だよね。ぶっちゃけ。日本人は識字率高いし、洋画で字幕に慣れているどころか、“大人が吹き替え版を観るのはダサい”ぐらいの感覚すら持ってるし。たぶんその内、大手の、どの大作ゲーも字幕だらけになる予感。
 
 
でも、こうした現実を目の当たりにしても「下手に外国文化に媚びるよりも、日本人は日本人の文化というか感覚を大事にした方がウケるんじゃねーの」と思ってしまうんだな。
 
 
任天堂株主・投資家向け情報:2010年3月期 第2四半期(中間)決算説明会 質疑応答

ただ、もう一度問題の原点に戻ると、やはり日本のマーケット専用のWiiのソフトを作って、開発費をペイするのは大変です。僕らもそんな怖いことはとてもできません。先ほどのマリオのソフトも日本で500万本売ると世界で2,000万本売れるという実績があります。ゼルダのソフトも、日本ではあまり注目していただけないんですけれども、だいたい海外では日本の5倍、いや、もっと売れるケースがあり、たとえば日本で50万本のゼルダが海外で500万本ぐらい売れた例があります。マリオは(全世界で日本の)4倍くらいですね。ですから、日本の開発会社でも世界中に通用するゲームは実は作れるんですけれども、その辺りはマネージャと開発者の姿勢の問題という面もあるかもしれません。

我々のビジネスというのは、皆さんが、「そんなことやって常識としてうまくいくんだろうか」と思うようなものが、何かのきっかけでポンっと化けた時に大きく成長する、大きく伸びる余地のあるビジネスなんです。ちょっと昔の話ですが、「ポケモン」が世界中で売れると誰が思ったでしょうか。「脳トレ」が世界中で売れると誰が最初から感じたでしょうか。「Wii Fit」がこんな商品に化けると、最初から見通せていた人はいったい世の中にどれだけいらっしゃったでしょうか。「トモダチコレクション」が初回受注10万本であったということは、「10万本あればしばらく大丈夫だ」と日本中の専門家の皆さんがそう考えられたということなので、「そういうことを打ち破るものをどう作るか」なんですが、すべて計算して作ることはできません。

宮本さんと岩田社長の言葉。質の高いソフトを作れば、言語や文化の違いを超えて世界中でこれだけ売れるんだ!ってのを実践されるとグゥの根も出ないっすわよね。でも、どこも任天堂そのものにはなれないわけで。
 
 
うーん、遠い世界の話だ。