FGO

「英霊剣豪七番勝負」は「魔界転生」に似てる似てないとかパクリかの話題…から、山田風太郎を語る
このまとめを受けて、
 
id:kikori2660:20171016#p1
 
の続きみたいな話。
 
FGOの追加されたメインシナリオ1.5部「英霊剣豪七番勝負」をクリアした。『魔界転生』の設定をなぞった中盤まではしんどかったが、最後のオリジナル部分だけは面白かった。ラストバトルは、ほぼ予想通りで『柳生十兵衛死す』だったね。ただ個人的にはどうせやるなら『二人の武蔵』ネタをぶっ込んで欲しかった。まあ、『週刊フェイト』で雑魚扱いだった「彼」の見せ場が存分にあったのは良かったと思う。やっぱフィクションのフィクションをそのままやっちゃうのをオマージュと言い張るのは苦しい。「盛大にパクったけど面白かったからOK」ってどうして言えないのかね?
 
モバクソ畑でつかまえて:「FGO」の新シナリオが『魔界転生』のパクリ? → いやいやちょっと落ち着こう、という話

なお『魔界転生』からの影響という話になると、そもそも「Fate/Stay Night」自体、高校時代に奈須きのこ氏が石川賢版『魔界転生』に影響されて書いていた文章が元になっているというお話もありますし、現在アニメ放映中の「Fate/Apocrypha」で天草四郎が登場するのも「Fate/Stay Nightの根底に魔界転生があるのなら、天草四郎がボスになるというのはどうか」という着想があってのことなのだそうです。

また、パロディーとかリスペクトとかオマージュとかパクリとかそう言ったことがバカバカしくなる作家の1人として、荒山徹氏をご紹介しておきます。数々の柳生ネタ作品をものしておられる方ですが、今回は最近電子書籍で出版された『大東亜忍法帖』をおすすめ。死した幕末の剣士たちをよみがえらせ明治政府を狙う謎の男山田一風斎、というここまで書いただけでお腹いっぱいな作品ですが、この作品自体も諸事情から上巻のみで発行中断、今回電子書籍でようやく完全版になったという、『魔界転生』を元ネタにしつつ小説そのものが魔界転生してしまった作品だったりします。ただしこちらは『魔界転生』を読んだ後読まれることをオススメいたします。

要は「パクリ認定するやつはパクリとオマージュの区別もつかず、他の作品をろくに読んでいない無教養な人間」という決め付けでしかないんだけども、引用したその荒山徹先生の『大東亜忍法帖』がどうなったか。
 
荒山徹「大東亜忍法帖」下巻(創土社)発売中止

荒山徹 @TArayama1961 2016-11-23 12:31:05
甲を著作権者、乙を出版権者とする上巻の「出版契約書」には「第2条(内容の責任)甲は、本著作物が他人の著作権その他の権利を侵害しないことを保証する。本著作物により権利侵害などの問題が生じ、その結果乙または第三者に対して損害を与えた場合は甲はその責を負う」とあります。

荒山徹 @TArayama1961 2016-11-23 12:36:38
これはつまり『魔界転生』の引用でトラブルが生じた場合の責任は甲(著作権者)つまりわたし荒山徹にあるということを明確にした条文で、わたしはこれに納得して出版契約書に捺印しました。そのようなトラブルであれば、もちろんその旨をツイッターで告知し、読者のみなさまに謝罪するのが筋です。

うん、『大東亜忍法帖』は実際には山風をパクったせいで出版差し止めになったんじゃないけどね。でも、人様の作品をネタにして商売するってこういうリスクを抱えるわけで、荒山先生ですらそのリスクを背負って山風パロ作品を書き続けてるわけだ。ゲームが何故許されるかといえば、単純に小説ほどメジャーな文化ではないサブカルチャーだからだろう。
 
まあ、ここまでグダグダ言い続けてけど、実は山田風太郎作品に謝れ!なんて言う気持ちはこれっぽっちもない。
 
ただ一つ、型月信者(弟子)に言いたいのは、
 
ベルセルクをもっと讃えろ!
 
って事です。なんでお前ら、ベルセルクの話題が出ると急にシーンとなるんだよ(苦笑)。