ソーシャルゲーム私見

旧世代ゲーム企画屋が、携帯ソーシャルゲーム遊ぶと何を思うか。島国大和のド畜生)
ソーシャルゲームのプレイサイクルと日本のゲーム業界における認知について(togetterまとめ)
 
個人的にソーシャルゲームについて思う事。これ、同僚もよく口にする言葉なのだけど「ソシャゲはゲームというよりはWebサービス」。感覚的にはツイッター掲示板、mixiなどのSNSはてなダイアリーなどのブログサービスと近いかもしれない。ソシャゲについて「友達が居ないと面白くない」と指摘するのは、2chに対して「掲示板に一人で書き込んでもつまらない」、ツイッターは「誰もフォローせずに一人でつぶやいても楽しくない」と言っているのと同じでね。
 
ソシャゲでよくある、人の作物に水を撒いてあげたり、宝石を盗んだり、スタミナドリンクをプレゼントするというのは、会話の代替行為と言っても良い。人は、“誰かと”常に会話をしたがっている=レスポンスを貰いたがっている。1クリックでクエストをクリア出来る事も、コメントでお礼を言われたいのも、プログラムと人の違いというだけ。普通のゲームユーザーがつまらないと感じるのは、ソシャゲにはゲーム自体の面白さよりも、まずはレスポンスの良さこそが求められているからだと思っている。
 
単なるコミュニケーションツールなんすよ、ソシャゲって。特にPCを持っていないガラケーユーザーにとっては。「なんだ、5ボタン押すだけでクリア出来てしまう、こんなショボいグラフィックのゲームのどこが面白いんだ」って人達にとっては、そもそもの文化が違い過ぎるわけで。
 
mixiはてなが廃れ、モバグリとツイッターが隆盛を極めているのは、ユーザーの求める、1〜2分レベルのごく短いプレイサイクルにマッチしたからだろう。もはや長ったらしい日記には付き合えなくなってきているんだろう。
 

 
この図の左の通り、従来通りの(MMORPGなどの)ゲームで、AさんとBさんがあるイベントに一緒に参加したいと思った場合に。互いの望む時間帯が重なっていれば良いけど、実際のリアル友達同士でもそれを合わせるのはなかなか難しかったりする。
 
しかしその図の右、ソシャゲの場合は、ごく短時間のプレイで多くのイベントをクリア出来る様になり、なおかつ非同期なので互いに好きな時間で挑めるから、ユーザー間の共有時間を大幅に増やせる。通勤や通学、家事の合間にお手軽プレイが可能なシステムが、現代のユーザーのスタイルにぴったりマッチしたと言える。逆に言うとゲーム運営側は、これにより、ユーザーがお金を使ってくれる機会をアップさせたという事だ。
 
これまでmixiは「アプリはあくまで知り合いユーザー間を盛り上げる為の道具で、メインは日記やコミュニティである」というスタンスを取り続けてきたが、去年の11月からそのスタンスを変え(株主からモバグリ方式に転換せよ、との突き上げがあったらしい)、「mixiゲーム」というサービスを立ち上げ始めている事実が、これを証明しているんじゃないのかな。
 
しかしちょっと寂しい気もするね。RPGをレベルカンストするまで延々とモンスターを倒したり、ARPGで友達と示し合わせて同時にボスに挑んだり、とかいう楽しさはある一定の層以外には伝わりにくい時代になったって事だからね。