安倍政権に対北朝鮮戦略の立て直しを求める! その1

やはり拉致問題を解決する為には、西村真悟・荒木和博氏など民社党出身者が持っている現実感、が必要だと思わざるを得ない。たぶん将来においても、彼らの思想は日本政治の世界を流れる川の主流にはきっとならないであろうし、その主張は投じられた小石が起こすさざ波程度のものかもしれない。しかし“空気”に“水を差す”事を恐れてはならない。その想いは時が経つにつれ、増していくばかりだ。
 
その荒木氏の発言。
 
荒木和博BLOG「痩我慢」

今回の6者協議合意は、単なる欺瞞に過ぎない。金正日体制が維持される限り北朝鮮が核開発を放棄する可能性はゼロであり、支援によって金正日独裁体制の延命に手を貸す以外の結果は得られない。また、現時点で政府は拉致問題の進展なくして援助は行わないとしているが、今後北朝鮮側から「再調査する」などの、守られるはずもない口約束を理由に援助に踏み切ることが憂慮される。もちろん他の4国は一刻も早く日本に援助させるよう求めてくるだろう。

荒木和博BLOG「佐々江団長からの報告」

佐々江局長にただ一言、現場でのご苦労に文句を言うつもりはないが、皆さんとは別の次元での判断については納得できないと伝えました。その上で、配られた文書に「『懸案事項』には、拉致も含まれる」と書いてあるが、北朝鮮は本当にこう認識しているのかと質しました。佐々江局長はそうであると答えましたが、どういう場でどう認識しているのかについては語りませんでした。

少なくとも今回の合意、そしてそれに日本が加わったことは失敗であるとの認識だけは持つべきだと思います。その上で次の対応を考えないと、とんでもない過ちを犯すことになるでしょう。戦略の過ちは戦術で補うことはできません。

何度も訴えていることだが、拉致問題の完全解決は北朝鮮の体制転換なしにはあり得ない。そして、米国も中国も韓国もロシアも妥協による問題先送りを希望している以上、日本は孤立しても原則的姿勢を貫かなければならない。ことは交渉担当者レベルではなく、政治の決断の問題である。関係各位が私たちの覚悟の意味を理解してくださるよう、切に期待する次第である。

話の花束『荒木和博 特定失踪者問題調査会代表の講演 その1』

結論から申し上げますが、あの話は私は7割から8割は本当だというふうに思っております。間違いなく蓮池さんは拉致をされている帰ってくる5年前までに、日本に工作目的で入って来ております。何らかの工作活動をやっています。そしておそらく他の拉致された方々、何十人か分かりませんけども、少なくともやっぱり何十人とかあるいは少なくとも十何人とか、それくらいの単位の拉致被害者も日本の中に入ってきて工作活動をしていたであろうという事が推測されます。

ただし、そのことについてこれは言うんですが、その前に是非ご理解いただきたいのは、もしそれが蓮池さんが日本に戻ってきて工作活動に関与していたとしても、それは彼を非難するという事には少なくとも直接は結びつかない、いう事であります。

一番悪いのは拉致をしていった人間を自分の国の工作目的、しかも自分の拉致をしていった人間の祖国に対する、ある意味で裏切り行為となるような事に使っている、と言うような事をやっている北朝鮮の体制が悪い。
そしてその次に悪いのはその人たちを助け出す事が出来なかった日本のこの国家にある、いうことでございます。

全く同じ事を言っていたのが安明進です。安明進はやはり北朝鮮の政治軍事大学でやはり彼を見ています。ただ、大学生のときの蓮池さんの顔つきとそして帰って来たときの顔つき、全然違いました。安明進が見ていたのは、北朝鮮にいるときの今の顔つきに似ていたときの蓮池薫であったわけですね。

ただしかし、それだけでは無いんです。間違いなくこの国の政府が情報操作をやってます。今までずっとこの何年間も見てきて、国家権力と言うものがこんなに恐ろしいものかという事を、本当に肌身にしみて感じました。拉致問題と言うのはこんなに小さい問題なんだと。こんなにわずかな人数でやっているんだと。そして家族の問題にどんどんどんどん小さくしてしまう。この人たちだけが帰ればこれで話は進展したんだと、言うふうにしてしまおう。そういう動きをですね。これは別に何も安倍さんになったからと言うわけではありません。もう何十年も前からずっと続けてきた、という事でございます。

かつて私の自衛隊の友人が言った言葉なんですけども、これまでずっと「日米安保条約で日本はアメリカの戦争に巻き込まれる」と言う言い方をされて来たんです。「しかし、拉致問題は違う。拉致問題は日本の戦争である。日本の戦争に日米条約でアメリカを引き込むんだ」と、いう事を言っていましたが、まさにそういう時期が来ている。

自分は西村塾生という立場上、西村から話を聞く機会は多かったがあくまでシロート、ただの会社員に過ぎぬのでその言葉の断片から色々想像するしか無かったが、そこから得た結論はさほど間違っていなかったように思う。蓮池さんに対する不審は、救出運動に携わる一部の方達からかなり以前から耳にしていた。しかしその事実から目を閉じ耳を塞ぐばかりの支援者は多い。ミンスミンスばかり叫んで、何から何まで北朝鮮や左翼系議員のせいにしていれば良いというものではないのだ。最後の、荒木氏の講演会における発言を紹介しているブログのコメント欄も結局、それだ。頭が痛くなってくる。

 
◆「中山恭子拉致対策本部事務局長に聞く 緊急集会」(id:kikori2660:20070212#1171296238)の質疑応答*1でも中山さんは結局、その蓮池さんが工作活動に関わっていた事を否定した。いい加減、嘘は止めにしてもらいたい。
 
その中山さんが新聞のインタビューにこう答えたそうだ。

中山恭子首相補佐官インタビュー「対話のための圧力続ける」1月27日読売新聞朝刊
 
自民党山崎拓・前副総裁の訪朝は、政治家の判断だと見ている。政府の対北朝鮮政策は影響を受けない。現在の「圧力」方針に変更はない。山崎氏から訪朝の成果を聞く必要もない。小泉前首相の訪朝が取りざたされたが、今の政府の姿勢を最もよく知っている方なので、心配していない。北朝鮮が対話しようと思えば、日本はいつでも準備できている。「対話」と「圧力」は両輪で平行しているわけではない。拉致問題北朝鮮が絶対優位のテーマ。対話するために、今は圧力をかけざるを得ない。全ての拉致被害者を帰国させ、拉致問題を解決するには、拉致という犯罪を犯した金日成政権を継いだ金正日政権相手に交渉する以外にない。クーデターや体制崩壊で環境が変わると、責任者や記録が分からなくなる可能性がある。現在の政権の人々に「帰国させる」と謝罪してもらうことが必要だ。日朝が国交正常化したら、人々が自由に往来できるからそれでいい、という意見があるが、たぶん間違っている。被害者は監視下に置かれ、自由が奪われたままの体制が続くだろう。正常化してからでは、被害者は取り戻せない。北朝鮮の核問題を巡る6か国協議では、拉致問題で進展がない限り、日本は核・ミサイル問題の進展だけでは協力体制を取れない。安倍首相は米国、中国に理解を深めてもらえるよう努力している。日本が孤立することはないだろう。安倍政権になって、政府内に初めて拉致問題担当部署ができ、やっと4か月。活動予算も今国会で承認を得られようとしている。解決に向けて、今は非常に難しいことが多くあるが、ご家族や支援団体の「救う会」は、困難な状況を一番よく分かって下さっている。

この問題について勉強している方なら、荒木氏とこの中山さんの発言に天と地ほどの差がある事がお分かり頂けるかと思う。
 
金正日政権の打倒無くして拉致問題の解決も無し」
 
西村眞悟も、かつて拉致議連が決議したこの方針を同じ集会で述べたが、日本政府はそれから逃げようとしている。救出運動の支援者も救う会も、安倍政権に匕首を突き付けるように、この実行を迫るように行動を重ねる必要がある。そうで無ければ未来は、無い。

*1:質問者はたしかフラッシュだかフライデーの記者だった