最近読んだ本の感想

まずはゲーム関連の本から。

ゲーム企画者の島国大和さんの著書。これを読むと、ゲーム業界を始めとするデジタル業界にゃちっとも夢と未来が無ぇ!という事に気付き、暗澹たる想いに耽ってしまいます。いやーホント、ゲーム業界を目指す人はマジで読んでおいた方がいいよ。引き返すなら今だ!四コマ漫画やフォントも工夫されていて、固くない、楽しく笑いながら読める一冊です。
 
なんてね。でもやっぱり好きだからこそ、この業界が良くなっていって欲しいからこそ、現在のデジタル社畜の日々にも耐えうるわけで!う〜ん、もうちょっと頑張ってみよう・・・。

ゲーム制作会社アクワイアPS2用ソフト「侍」を完成、発売するまでの軌跡を、ゲームジャーナリストの新清士氏が追い続けたノンフィクション。これ一冊でゲームの制作過程が分かります。「あーいるいる、こんな風に逃げちゃったプログラマが!」ってな感じで。3DCGに対する著者の知識も十分過ぎるほど的確で、制約の多いPS2というハードの中でいかに3Dグラフィッカーが工夫を重ねているかを懇意丁寧に説明してくれているので、ゲームCG屋を目指す人はこれを読んでおくべき。もしくはCGプロダクションからの転職を考えている人なんかも特に。プルポリゴン&フルカラーのテクスチャで作業を続けてきた人は、ローポリ&256or16色テクスチャの世界を未体験だろうから。しかしこの会社、モーションキャプチャーの請負業務はもうやってないみたいだね。以前ここに仕事を発注した事があったが、遅れるなら遅れるでちゃんと連絡を寄越すべきだろう、と思った体験をしたな(苦笑)。

奪還 第二章

奪還 第二章

拉致被害者蓮池薫さんの兄、透さんの著書。蓮池・地村・曽我さん家族が日本に帰国した後の激動の日々、これからどうやって生活をしていくかの苦労や心配、そして家族会内部の意見の違いや分裂、現在もなお背後で蠢く日本と北朝鮮における政治の動きを克明に描き出している。この著書で触れている通り、気軽に「あなたの苦労は分かる」だなんて言う資格は、日本の誰にも無い。特に、現在もなお拉致被害者の返還を拒む北朝鮮経済制裁を行なうどころか「拉致被害者を全て返せ!」という肝心の一言すら無い、あの軽薄なインチキ宰相には。
 
著者本人も述べるように、24年間も家族をさらわれ、日本政治にも裏切られて続けてきた立場の方にとっては「もうこれ以上、政治の現場には関わりたくない。もう怪しげな団体に利用されたくない。ごく当たり前の平穏な生活を送らせてくれ」と言いたくなるのは当然の事だと思う。だが、この被害者の心境を利用し拉致問題が全て解決したかのように見せ掛ける北朝鮮の思惑に乗ろうとする連中に惑わされてはならない。非常に酷な言い方で誤解を恐れずに申し上げるが、5.22の日朝会談で帰って来た方々には自分達がこれまで受けてきた迫害の体験を広く、余す所無く伝える義務があるのではないかと思う。それには日本政治が「我が国民である彼らに手を出す事は決して許さない!」という強固な意志を表明し、実行する事が大前提ではあるが。
 
平成14年9月17日の日朝会談で「8人死亡、5人生存」とまるでデタラメな北朝鮮の報告を鵜呑みにし、危うく国交正常化を成し遂げようとした小泉政権を完全に否定し切る事が出来ないのは、やはり「まず5人を取り戻す事によって、そこから更なる拉致被害者奪還を目指す」事が出来るんじゃないかという淡い希望があったからだ。しかしご存知の通り、小泉は国交正常化による己の花道を潰されやる気をまるで無くしてしまった。邪な私欲が、更なる困難を招き入れた事は確実である。
 
被害者達が望む、平穏な生活。こんなささやかな願望を出来れば壊してあげたくない。しかし誤解を恐れず更に言う。「日本の政治家も、帰国した拉致被害者やその家族も、そして日本国民全体も更なる“奪還”の為にこれからも運動を広げていくべき」なのだ。これもまた著書で触れられているように、この問題で怪しげな動きを続ける政治家や政治団体は多い。西村真悟ですら透さんにとっては、田中均平沢勝栄などとすら変わり無い存在であるかもしれない。しかし日本の世論がまだ400人以上存在すると言われる拉致被害者達を忘れ、ただ平穏のみを望んで、北朝鮮からの脅威に目を逸らすようになってしまえば、本当に共同体としての日本は終わりを遂げてしまうのだと思う。国民国家の破壊が訪れる。同じ問題が、中国での反日デモなどによる「歴史問題」圧力という形で降りかかってきているのだ。
 
小泉よ、郵政民営化なんてどうだっていいんだ。アメリカに郵貯を差し出す真似などはとっとと止めて、8月15日の靖国参拝を目指すべく努力しろ。小泉信者も「強硬に参拝したら中国と戦争になてしまう〜」などと妙な擁護や逃げ道を作らずに、仮にも保守を名乗るなら「必ず行って下さい!そうでないとこれ以上あなたを応援出来ない」と宣言すべきだ。その程度の事が出来ないのなら「小泉総理は運が強すぎる 〜小泉超ラッキー伝説〜」というHPは史上まれに見る馬鹿サイトとして、後世にまで残る事だろう。
 
最後に。著者の立場はやはり著者だけのものであって、同意出来ない部分もある。例えば、帰国した家族への手厚い経済援助を要求するのは当然だと思う。これまで無策だった日本政治への怒りもあるのだろう。しかしその一方で増元照明さんが、家族会の為の事務所を開いた事に関して苦言めいた事を書き、公表してしまうのはどうなんだろう。生活手段であり、長年勤め重要な役職にもあったにも関わらず退職し、参議院議員選挙に退職金を注ぎ込んでまで出馬したその想いを一番理解出来る立場に、あなたはあるのではないか。
 
そして平沢勝栄に対して痛烈な批判をしているが、5人帰国後の国民大集会で「小泉首相の二度目の訪朝反対」で家族会がまとまっていたはずのに、大会中「小泉さんは何度でも北朝鮮に行って、家族を取り戻せばいいじゃないですか!」と突如イレギュラーな発言したのは、元々誰かの入れ知恵だったのではないか。