人権擁護法案と油濁法 〜この二つの法案に賛成する人々に共通した病理 その4

小泉首相を支持する人々が、喜び勇んで持ち上げたこの改正油濁法は、何か法案の文章に大事な部分が欠けていたのだろうか。何か致命的な欠陥があったのだろうか。
 
そんな事は無かっただろうと思う。その内容をじっくりと読み込めば、誰にでも「北朝鮮船舶を狙い撃ちした考え込まれた見事な」法案だというのが分かる。これを思い付いた議員(役人?)は相当の切れ者に違いない。だが、見事に失敗した。何故だろうか。
 
それは以下の理由である。

  1. 当の小泉政権が法の意図する精神を曲げた、的確な運用をサボタージュしたからである。
  2. 単に、相次ぐ海難事故で起きた被害の為に保険の強制加入を求めるだけの法律を、無理矢理に擬似経済制裁に転用したからである。
  3. そもそも、この油濁法という小手先の手段では不足が予されたから、有志の議員によって“特定船舶入港禁止法案”と“外為法改正”が作られたというのに、小泉政権がそれを無視している。

そして、ネット上の小泉信者達があれほど油濁法を絶賛した現象が起こったのも、官邸もしくはそれに近い筋が彼らに「こんな法案があるんだけどご存知ですか」と吹き込んだからではないか?発祥となったサイトは既に閉鎖され、その始まりはもはや確認出来ない。が、“油濁法の効果”を喧伝し煽り立てたサイトはそれがもたらした結果を無視し、己の行いは既に忘却の彼方である。
 
結局これでハッキリしたのは、法案の条文を穴が空くまで眺めていた連中というのは、それが誰に、実際どうやって運用されるのか全く想いが行き届かない、未熟な政治センスしか持ち合わせていなかった事。政治情勢を見誤って「お花畑」に逃げ込んでいただけだったという現実。文字通りの「理論馬鹿」なのである。
 
それは、人権擁護法案を巡る今の議論にも同じような事が言える(やっとここまで来たw)。