新聞屋の話

昨日の続き。何故そこまで、新聞屋の所長にどういう食の恨みを持っていたかというと“臭いメシ”を食わされたから。ちょうどその頃、不作で米不足が起こっていた時期でタイ米の輸入が話題になっていた。ちゃんとしたタイ米ならばそれなりにうまいらしいが、農水省の陰謀やらなにやらでかなり等級の低いものしか入ってこなかったんだとか。専売所では朝と晩に食事が出されていたのだけど国産米は値上がりして買えなくなっており、経費削減の為にこのタイ米が食卓に上る事になった。過去のほんの一時期の事であったからもう忘れている人も多いだろうけど、これが本当にとてつもなく臭かった。「なるほど、刑務所の“臭いメシ”とはこれか!」と驚愕するほど臭かった。オカズがいつも冷凍食品なのはまだいい、もの足りなきゃ醤油でもぶっ掛けて食えば良い。だがご飯がこのザマじゃどうしようもない。箸で口に運ぼうとしても、途端に吐き気が起こり体が受け付けないので、しばらくオカズだけを口にする生活が続いたが、食費はきっちり給料から天引きされていた。嫌な思い出である。今でも“タイ米”という響きを聞くだけで気分が悪くなってしまうのだ。ああ、なんて脳がとろけそうなほど醜い言葉。<「Mr.ダンディー」風に。