油濁法が制裁だって?

id:kikori2660:10010101#c)こんな質問を頂きました。

5月22日の訪朝の一週間後に特定船舶入港禁止法案が可決されたことをどうご覧になりますか?あと、外為法改正と船舶油濁賠償保障法の改正についても。

まず、まるでこの二つが小泉政権の努力の成果だと勘違いされている小泉ファンが多くて頭が痛くなりますが、特定船舶入港禁止法案と外為法改正は国会議員が提出して成立した「議員立法」です。つまり立法府たる国会の議員が、内閣総理大臣に対して「法律を作ったぞ、これを使ってちゃんと行政しろや(゜Д゜)ゴルァ!!」というもの。船舶油濁賠償保障法の改正は国土交通省発の「内閣立法」で、確かに来年三月以降に自動的に発動する事になっている。しかし抜け道が色々想定されるし、元々事故の際に補償を払おうとしない北朝鮮の船に強制的に保険に加入させる為だけのものであるから、とてもこんなものが制裁だとは言えない。この法律制定に活躍した自民党の水野けんいち議員のサイト『私たち若手議員が考えた「北朝鮮制裁法案」の意義』を見ると、何故その二つの「議員立法」が作られたかの経緯がよく分かるだろう。

そうした中「わざわざ新法を作らなくても現行法で対応できないのか」という声もある。最後にこれについて触れてみたい。現在の法律では北朝鮮船だからといって入港を阻止することはできない。ただ今年の通常国会油濁損害賠償保障法という法律が改正される。これによって無保険船の入港を禁止することができるようになる。背景にあるのは座礁船舶の問題である。座礁した船を撤去する責任は船主にある。だが船が保険に入っていないため船主にその資力がなく結局は放置されるということが頻発した。一昨年に茨城県沖で座礁したまま捨て置かれた北朝鮮船チルソン号はその一つである。そこで法改正して保険への加入が義務づけられ、今後は無保険船は入港禁止となる。北朝鮮船の保険加入率は際立って低い。日本に入港する外国船の保険加入率が平均73%なのに対し、北朝鮮船はわずか3%にすぎない。こうなると多くの北朝鮮船は実態としては締め出される。だから新法は不要ではないかという声も一部にはある。その考えには疑義がある。これはあくまでも保険の有無で入港規制をしているにすぎない。どこの国の船だろうと保険に入れば入港を認めざるをえなくなる。やはり別途、「特定船舶入港禁止法」は必要なのである。私たちが用意している入港禁止法が成立すれば日本外交の選択肢が広がる。北朝鮮というのは一筋縄ではいかない相手である。外交カードは多いほどよい。しかも圧力をかけうるということは抑止にもつながる。彼らがこれ以上の無法行為を自制することも期待できる。幸いこの法案には国民の強い支持もある。読売新聞の世論調査では80%の人が賛成している。これに応えるのが立法府の責務でもある。私自身も立法府の一員として成立のために全力を尽くしていきたい。

 
ちなみに西村眞悟の制裁法案についての文章。
「平成15年5月23日:対北朝鮮経済制裁の手段」
「平成15年9月6日:万景峰号はいかに作用するか」
 
こうして立法府に携る議員達は、無闇に自然発動する法律ではなく、総理大臣が自分の意志で発動出来るものを作り上げ、小泉首相の前に差し出したのだ。
 
再び、眞悟の時事通信「平成16年12月8日:概観・・・会期が終了し今年が暮れる」より。

嘘を嘘で固めた残酷な独裁体制の犯罪・・・北朝鮮には、経済制裁によるしかない。これが被害者救出への怒りの大道だ!今この機を逃さず速やかに経済制裁を断行しなければ、本当に横田めぐみさんたち、大勢の被害者は、抹殺されてしまうのだ!
  
小泉さん、君は度々北朝鮮から嘘を信じさせられ馬鹿にされている。総理大臣、君は、二年前には、八名死亡を信じて「頭が真っ白」になって帰ってきた。二度目の訪問では、金正日の再調査の回答を「誠意を示した」といい、この度の実務者協議では、北朝鮮が「努力してくれた」と言っていた。小泉氏よ、再び言う、金正日は君を「こけ」にしているのだ。
  
もはや迷うことはない。命を守るために経済制裁に進め。
そのための法的手段は、先の国会で我々が用意してある。