台湾は中共に屈するのか

宮崎正弘の国際ニュース・早読み
(http://www.melma.com/mag/06/m00045206/)
『台湾実業界、与党に衝撃を与えた許文龍「ひとつの中国」発言の真意は? 中国に脅迫されて、完全に「人質」化した台湾企業の進出工場。』

衝撃は3月26日早朝だった。台湾の新聞に許文龍氏の「意見広告」が「公開状」として掲載されたのだ。そこには台湾独立の立場を捨て「一つの中国」であり、「台湾独立を主張し続けることは両岸に戦争をもたらし、台湾人民を災禍に陥れる危険性がある」と書かれていた。3月26日といえば、中国の反国家分裂法を非難する台湾百万人集会の、その日。陳水扁総統もデモに参加し、李登輝前総統もデモ隊の先頭に立った。世界のメディアが、この台湾の怒りを報道した。だから許文龍氏の「転向声明」は深い衝撃と悲しみをともなって多くの人に迎えられた。筆者もまた深い切なさ、台湾の悲哀を感じてならなかった。
 
もちろん、許文龍の文言を額面通り受け取る台湾人はひとりもいないだろう。李登輝氏はテレビで「友人はみな、許文龍さんの心理を理解している」と発言している。恐喝されて、渋々書いたことは明白であり、しかも前日から許氏自身は海にヨットを浮かべて世間との接触を断った。

これはかなりショックな情報だ。朝の電車の中で、この事について報道した新聞記事を何度も何度も読み返した。許文龍氏と言えば、台湾屈指の大富豪、そして台湾独立派を長年支え続け、小林よしのりの「台湾論」にも登場する大の親日家でもある。認めたくはないが、中共が許氏のビジネスに対して長年かけ続けてきた政治圧力にとうとう屈した形である。なんてこった。
 
◆反分裂法反対 台北で100万人デモ 陳水扁総統も参加
(http://www.sankei.co.jp/news/050326/kok083.htm)

台湾の独立阻止を目的に中国が武力行使に法的根拠を与える反国家分裂法を制定したことに抗議する大規模デモ行進が26日、陳水扁総統も参加して台北市内で行われた。警察当局によると、100万人以上が参加、台北でのデモとしては史上最大規模となった。

陳政権は当初、反併合法制定など法的対抗措置も検討したが、中台間に「対立の連鎖」が生まれることを懸念する日米などに配慮、デモにとどめることにし、各地に動員をかけたという。陳氏はデモ後の集会で参加者とともに「平和を愛し、台湾を守ろう」とのスローガンを叫んだが、中国や対中関係改善で合意した第2野党、親民党の宋楚瑜主席を刺激するのを避けるため演説はしなかった。

こうした陳政権の中途半端な、融和的な態度や台湾“国内”の敵が、事態を更に悪化させているのではないか。これには前振りがある。
 
◆「台湾の声」【論説】「陳−宋会談」で台湾に異変
(http://www.emaga.com/bn/?2005030072996061006999.3407)

●政権与党のパートナーに「親民党」
 
台湾の陳水扁総統と親民党の宋楚瑜主席が2月24日に会談し、国家の主
権問題や両岸政策など10項目について合意した。会談の中心議題は国内外
の案件を処理することで硬直した国会運営を打開し世論の支持を取り付けるこ
となど両者の利害が一致したものだ。今回、宋主席は陳氏側の政策項目にいち早く合意し、陳政権の公約に同意と支持を表明した。陳総統は2008年の任期中に「独立を宣言しない」「国名を変更しない」「二国論を憲法に盛り込まない」「独立か統一か、現状変更の公民投票は行わない」「国家統一綱領と国家統一委員会を廃止しない」など「5つのノー」を公約している
 
陳政権の第一期は民進党台湾団結連盟(台連)合わせて過半数に届かない少数与党であり、あらゆる法案が否決され政権運営がままならぬ状況にあった。その台連は前回選挙では伸びず、今回も両党合わせての過半数獲得ができなかった。 陳政権誕生以来、台連は手となり足となって陳総統を助けてきた。しかし李登輝氏や台連よりも、今後は政権与党のパートナーとして「親民党」との連立を選択する決断をしたものである。

つくづく、去年12月ので議会(立法院)選挙で民進党と台連が議席過半数を取れなかったのが悔やまれる。「2008年の北京オリンピックまでどうにかしないと台湾は中国に呑み込まれる」との発言はよく聞くが、実のところ、この選挙が大きな分岐点だったのだ。台湾を批判するほど、日本の政治状況は褒められたものではないが、やはりこの時点で台湾人が独立国としての矜持を掲げる勇気を持たなかった事が、最大の問題だったのだ。再び宮崎氏のMLの記述に戻る。

▲次なるターゲットは日本企業大幹部への「買弁」工作ではないのか
 
その後も中国共産党は執拗に同社の営業を妨害し、融資している銀行にも取引先にも巧妙で老獪な圧力を加え、そのうえユーザーである日本、台湾企業へ圧力をかけた。原材料輸入の差し押さえ、不必要な税務査察が何回も何回もなされ、あげくはデッチあげの罪をきせて経営幹部の取り調べ(厭がらせによる心理作戦は白色テロも赤色テロも同じ)、許文龍はこの間、総統府顧問の辞退を二回にわたって陳水扁総統に申し入れていた。事情通に聴くと、許氏の側近が中国当局に不意に拘束され、人質のかたちで許への脅迫が繰り返されたという。すなわち反国家分裂法に賛同し、デモ当日に「台湾独立は無益」とする声明を出せ、云々とする脅迫恐喝恫喝である。許はたとえ偽装であれ「公開状」というかたちで「中国はひとつ」と発表せざるを得ない立場に追い込まれた。テレビを呼んでの記者会見を避け、意見広告も小さな新聞に打ったというささやかな抵抗も、ひとつの信号を台湾の民衆に送りたかったからであろう。李登輝前総統も呂秀漣現副総統も「台湾企業の大陸進出はいずれ人質化する」と、その危険性を何度となく唱えてきた。しかし台湾プラスチックの王永慶も、エバグリーンの張栄発も、「台湾」の独立を言わなくなり、中国大陸へのビジネスにのめり込んだ。許文龍は最後まで愚直なる美学をまもろうとした。
 
もって他山の石となす、という格言を我々はしみじみと銘記しなければなるまい。
すでに富士ゼロックスの小林某も、日本IBMの北格某も北京詣でのあとで「小泉首相靖国神社参拝をやめろ」とする北京の買弁派になりさがって多くの日本人から軽蔑された。しかし北京買弁の風潮は、つぎにトヨタ、本田などに飛び火するだろう。      

朝鮮労働党員であり、北朝鮮工作員を義父にもつ盧武鉉韓国大統領はおそらく北からの指令を受け、反日・反米発言で国家を壟断し、東アジアを混乱の極みに叩き落そうとしている。そして日本では、これも北朝鮮の意向を受けた解同が「人権擁護法案」を成立させようと、日本の国会議員に働きかけている。「そんなものは陰謀史観だ」とか、抜かしている場合ではないんである。敵は日本に核を向ける中国と北朝鮮だという事を忘れてはいけない。
 
さあ、どうする、常務島耕作
 
工エエェ( ;´Д`)ェエエ工?
 
これで小泉首相が8月15日の靖国神社参拝を止める、というのならそれは正に中共に屈するのと同義になるだろう。小泉を支持する人々よ、そこまで彼を熱心に応援するのならば「むやみに中国と対立する必要は無い。無理して行かなくても・・・」という奇妙な弁護は今すぐ撤回し「必ず終戦記念日に参拝を!」と今のうちから釘を刺しておくべきだ。