上記のニュースを受けての感想

この記事「はしご外された強硬路線・・・制裁決議案の採決延期」と合わせて読むと、どうもアメリカ国内、国防省国務省の間で北朝鮮問題に対し、大きな意見の対立があるように思える。制裁決議案はどうせ中国・ロシアの反対で潰れると思っていたが、結局国連憲章7章抜き・実効性に欠ける誤魔化しの決議案に日本も同意し、全会一致で可決。どう言い繕おうとしても、完全な外交的敗北なのだろう。いつもの小泉信者のパターンだと「これで中国の真の姿を炙り出す事が出来たのだから成功だ!」とか言ってるんだろうけど。で、バンドン会議で小泉が謝罪したら「いつまでも日本に謝罪を求め続ける中国が国際的に孤立して困った事になる」とか言ってた人達。その話は結局どうなったのさ?
 
それはさておき、対北朝鮮強硬派のボルトン氏が皮肉を込めて「見た事か、無意味な決議なんかしやがって。北鮮は採択の直後に、そんなもん守るかって言ってんじゃん」と苦笑し、安保理各国を軽蔑しているかのように見える。であるからアメリカ(の強硬派)は「極めて明確なシグナルを送れた」と述べているが、決議そのものを評価しているのではなく、こうして北朝鮮が見事に、短絡的に反発してくれた事を素直に喜んでいるのかもしれないよ。中ロ韓は口をあんぐりと開けて、せっかく時間稼ぎをしてやってんのに何考えてんだ!?と怒り心頭かもしんない。しかし本当に何を考えているんだろうね。
 
北朝鮮大使が決議「全面拒否」 発射継続を宣言
(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/10927/)

北朝鮮の朴吉淵国連大使は十五日の国連安全保障理事会で、安保理が全会一致で採択した北朝鮮決議を「全面的に拒否する」と表明、自衛のための抑止力を増強するため、今後もミサイル発射を継続する意向を宣言した。また「一部の国」が北朝鮮を孤立化させるため安保理を利用していると日本や米国を非難。日本については「拉致問題」を国際化させていると批判、米国は昨年九月の六カ国協議共同声明採択から間もなく、金融制裁を科したと反発した。大使は五日(日本時間)のミサイル発射は通常の「軍事演習」の一環で「主権国家の合法的な権利」の行使と正当化し、いかなる国際法にも違反しないとの立場を強調。共同して北朝鮮のミサイルを迎撃すると威嚇している米国や日本に発射を事前通報するのは「ばかげている」と述べた。さらに日朝平壌宣言などで確認したミサイル発射凍結公約は既に無効化したと指摘。ミサイル発射について他国が取り上げたり圧力をかけるなら、北朝鮮としては「別の形でより強い物理的行動を取る以外に選択はない」と警告した。
 
北朝鮮の朴吉淵国連大使の発言要旨は次の通り。
一、国連安全保障理事会北朝鮮のミサイル発射について議論することは、安保理の権限、および国際法の観点から見て正当化できず、ギャングのような行為だ。
一、北朝鮮は、一部の国々が北朝鮮を孤立化させ、圧力を加えるために安保理を利用していることを非難し、この安保理決議を全面的に拒否する。
一、今回のミサイル発射は、北朝鮮軍が自衛力向上のために行う日常的な軍事演習の一環だ。
一、北朝鮮はミサイル関連技術輸出規制(MTCR)の加盟国ではなく、その枠組みの下での何らの約束にも縛られない。
一、北朝鮮が一九九九年に同意した長距離ミサイルの再発射モラトリアム(一時停止)は米朝対話が行われている間のみ有効だった。
一、(二〇〇二年の)日朝平壌宣言下でのモラトリアムも同様。日本は約束を守らず、いわゆる拉致問題を国際化した。こうした行動は日朝関係を宣言以前の状態に戻した。
一、北朝鮮はミサイル発射演習を継続する。いかなる国でもこの演習に異議を唱え、圧力を加えるならば、別の形でより強い物理的行動を取る以外に選択肢はない。

こっちの産経新聞系の記事の方が詳しいので改めて紹介。・・・う〜ん、これは「何が何でも日米から金を毟り取るぞ!」という固い固い決意に思える。だいたい制裁決議案から何とか逃れたものの、収支で言えばミサイル分のマイナスのままだ。国家の保安を図る為に今回の騒動を起こしたのに、これでは意味が無い。とにかく小泉よ、早く早く一刻も早く再訪朝して金を寄越すニダ!と喚いているようにしか見えない。もしくは「アメリカが金を出したりしなくとも良いから、日本に金を出すように厳命せよ」みたいな。とにかく北朝鮮からしたら、日本は金を出す係。しかし日本側もそれが嫌なら、北朝鮮側かわざわざ「日朝平壌宣言は無効化した」と言っているのだから「その通り」と認めれば良いだけの話。何故それが出来ない?困った事に、民主主義国家である筈の日本の総理が何を考えているのかサッパリ訳が分からないのだ。以前から「小泉は北に何か弱みを握られているのではないか?」という意見が多かったが、中々それを証明する証拠は見つけ出せてはいない。
 
さて「次の措置」となる制裁案も、中ロの反対で潰されるであろう。これは仕方無い。だが「中国を孤立化させた事に意義がある」といった類の弁明はもはや見苦しいという事を知るべきだ。「人事を尽して天命を待つ」と言い切れるぐらいの努力を払うべきなのだ。国連も六カ国協議にも頼らずに、日米2カ国で常に北朝鮮経済制裁でプレッシャーを与え続けていく。万景峰号を一時的に足止めする程度の制裁措置では、以前に行ったPSC規制や油濁法の適用で嫌がらせレベルのプレッシャーを与えたのとさほど違いは無い。日本の“本気”を見せぬ限り、北朝鮮はミサイルを撃ち続け、拉致被害者を返す事はないだろう。
 
その為には、日朝平壌宣言の破棄と日本独自の全面的経済制裁こそが急務である。これ以外に道は無い。自国の本気を見せずに、他国に阿り、孤立を恐れるような国家が国連に訴えても説得力に欠ける。