さて、安倍政権の拉致問題への取り組みをどう評価する?
小泉政権が目論んだ北朝鮮との“国交”正常化はかろじて防ぐ事は出来た。それも家族会や救う会、拉致議連が、拉致問題の棚上げを必死に阻んでいたからである。「いや、小泉さんは“拉致問題への解決無くして国交正常化無し”と宣言しており、実際に行なわなかったではないか」と小泉信者は言うだろう。しかし「外交敗北−日朝首脳会談と日米同盟の真実」で明かされているように(あからさまに小泉前首相を非難はしていないが)適当の五人の拉致被害者の一時帰国で手を打ち、“国交”正常化にひた走ろうとした対北朝鮮外交の失策をもはや認めないわけにはいくまい。
◆眞悟の時事通信「拉致被害者救出の為に」
(http://www.n-shingo.com/cgibin/msgboard/msgboard.cgi?page=255)
唐突な感じの日朝実務者協議があった。そして、シン・ガンスという大物工作員等がほぼ全ての拉致に関わった中心的人物・諸悪の根元のように俄にマスコミでクローズアップされ指名手配された。
さて、この時、私と仲間は何を感じていたのか。それは、拉致問題の幕引きと被害者切り捨ての動きである。
即ち、シン・ガンスという諸悪の根元に仕立てた人物を、北朝鮮が我が国官憲に引き渡せば、首領様の認めた日本人拉致に関して北朝鮮が最大の「誠意ある対応」を示したことになり、日朝友好ムードが醸成され、これを以って日朝国交樹立の「障害」は取り除かれたことになる、・・・このシナリオを断じて進行させてはならないと、我々は警戒したのである。
次に、昨年末のシン・ガンスとこの度のキム・ミョンスクの指名手配で、もはや誰の目にも明らかになってきたことは、彼ら工作員の活動をサポートしバックアップする組織が我が国国内に存在するということである。そして、この国内組織の全容解明こそ拉致問題の本質に肉薄する作業であり、この作業を抜きにして我が国の再生と将来の安泰はない。
十数年前に、シン・ガンスが韓国で裁判を受けていたとき、その助命嘆願書に署名してこの北朝鮮工作員を助けようとした我が国の国会議員は大勢いる。また、金正日が拉致を認めるまで、拉致はでっち上げだ、コメを北朝鮮に贈れといっていた有力な政治勢力がある。
さらに、我が国総理大臣が、こともあろうに、如何にして朝鮮総連の大会に祝賀メッセージを送るようになったのか、極めて不可解である。
これらの問題を数え上げていくと、結局、我が国家を国家たらしめる体制が欠落していて、その中で拉致が行われ隠蔽されてきた、スパイ防止法をはじめとする法制がどうしても必要であるという問題意識に突き当たるのである。この実現が、我々の緊急課題である。
曽我ひとみさんの住む佐渡市だけではなく、通称「大町ルート」と呼ばれる在日朝鮮人の影響力が強い地域の捜査が未だ進んでいない事に苛立ちを覚えてしまう。以前、西村が曽我さんの故郷、真野町における工作員の存在について国会質問をした事があったが(参考 id:kikori2660:20041209#1162655681)、拉致事件における土台人の存在について語る事は現在においても何故かタブーになっている。これについても着手しない限り、問題解決の進展は無さそうだ。川口市や真野町の怪しい在日朝鮮人を片っ端からしょっ引けよ!とも思うが、朝鮮総連に祝辞を出すような前首相はもちろん、現首相にもそんな度胸は無いだろう。
(画像はどっかから拾ってきましたw)
さて、いよいよ本題に入ります。
◆特定失踪者問題調査会「[調査会NEWS 424(18.11.2)」
(http://www.chosa-kai.jp/)
調査会では、安倍政権誕生の前から、「新政権がスタートしたら担当大臣等しかるべき立場の人に特定失踪者関連の署名の提出、要請をご家族とともに行いたい」と申し入れています。しかし、家族会には政権発足直後に、飛び入りとはいえ総理まで参加して決意を述べたのにもかかわらず、特定失踪者については、政権発足1か月余が過ぎた今日でも担当大臣に会う日程のめどすら立っていません。これは事務方の努力云々の問題ではなく、政権全体の認識の問題です。総理を本部長とする対策本部まで立ち上げた鳴り物入りの体制にもかかわらず、本当に拉致問題全体を解決しようという意志があるのか、疑問にすら思えてきます。
前首相の小泉さんに比べたら、安倍さんは紛れも無く、拉致問題解決の為に動いてくれている。しかし、様々な疑問は残る。その最大のものはやはり、当時の小泉首相と共に訪朝し、安倍さん自身がその締結に反対したはずの日朝平壌宣言を未だ放棄しようとしない事。ミサイルを撃ち核実験を行なったにも関わらず、それが無効であるとは認めない。そして荒木さんが公表されているように、政府関係者から特定失踪者調査会への連絡が未だない。未だ民間の団体が手弁当で「しおかぜ」の放送を続けねばならないという異常な現状。総理就任前に「拉致被害者だけではなく特定失踪者についても究明していく」と約束したにも関わらず、政権発足後にすぐさま拉致問題特別委員会を設置したにも関わらず、調査会に何ら情報提供を求める接触が無いとは。んなアホな。
「経済制裁発動の理由として、拉致問題に誠実に対応しないというのも理由の一つ」というが、もしも米中・北朝鮮の交渉において何らかの妥協がなされた場合、経済制裁を継続するだけの度胸が安倍さんにはあるのか(一応、拉致問題が解決するまで解除は無い、と宣言したが)。安倍さん自身を信用するにしても、その周囲には胡散臭い人間が多過ぎる。
ハッキリと言おう。このまま特定失踪者問題に取り組まず、日朝平壌宣言にいつまでも縋るようなら、安倍政権は小泉政権と同じく拉致問題を棚上げにして“国交”正常化を目指しているのではないか?という疑いを拭い去る事は出来ない。西村幸祐さんや荒木和博さん、西村真悟も露骨には口にしないものの、安倍総理に対して「もしかして・・・あんたヤっちゃうつもりじゃねえだろうな?」と言いたいのだろう。
安明進氏が裁判に出廷して特定失踪者について証言するに至ったのも、小泉から安倍政権に変わり安心したからなのだろう。しかし現在における安倍政権の取り組みは、拉致問題についてはかなり評価出来るものと言って良いが(いつまで家族会を外国にまで飛ばして働かせるのだ、という疑問はあるが)、拉致認定を受けられていない特定失踪者については驚くほど冷淡だ。支援者にもそれを問い掛ける声が少ないのは、悲しい事ではないか。
安倍政権の発足直後、前述のエントリーで「経済制裁を押し付けるな!小泉さんを批判するな!!」という転向を果たした一部の支援者は、今度は「これまで拉致問題の解決の為尽力してきた安倍総理がダメなら、もう拉致問題は解決しない!支援者ならば批判は止めて、応援しよう!!」と言い出している。全くもって、反省の色を見せない御仁達です。