「孤立しているのは日本ではない、北朝鮮の方である」と言うけれども

◆6か国協議で核放棄進展なら日本も間接協力…麻生外相
(http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070211it05.htm)

麻生外相は11日、北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議で核放棄に向けて進展があった場合、北朝鮮のエネルギー事情の実態調査などを行うことで、間接的に協力する考えを表明した。外相は「例えば(北朝鮮が要求しているとされる重油)50万トンは本当に要るのか、国民に全部渡っているのか、という調査を国連がやる(必要がある)。人手が足りなければ、日本が協力できる部分はある」と述べた。外相は「50万トンの支援に協力することは、今の段階ではない」とも語り、拉致問題が進展しない限り、直接のエネルギー支援などは行わない日本政府の方針を改めて強調した。日朝2国間対話の見通しに関しては、「中国も米国も、北朝鮮に『日本とうまくやらない限り、おれたちだけでは(将来の支援は)できない』と言っている。その話を聞いて向こう(北朝鮮)が『日本とやらなければしょうがないか』と思うかどうかだ」と述べた。都内で記者団に語った。

「間接援助」ねえ。「売春」を「援助交際」と言い換えるのに似ているな。この場合は「支援」をそう喩えているに過ぎない。「拉致問題が進展しない限り、支援は有り得ない」と表向きでは言うものの、その実情はまるで逆だ。そもそも「支援」を餌に北朝鮮を日朝部会に引っ張り出そうという作戦は、経済制裁を発動して「圧力」を掛けていくという方針を根底から覆している。以前からの、「アメ」を与えて北朝鮮の軟化を求めていた外交政策に戻ってしまっているのだ。
 
「六者協議は、日本の金を北朝鮮に与えて宥める儀式の場である」
 
というのは俺の以前からの持論だけど、残念ながら本当にその流れになりつつある。現在の日本政府には「アメ」を与えて譲歩を得る外交能力はない。アメリカにすらないのだから。「調査の協力」という名目の制裁緩和はいずれ「支援」に変貌を遂げるに違いない。威勢の良い言葉とは裏腹に、安倍政権はアメリカや中国の意図通りに、北への経済援助を行なうよう懐柔されていると判断している。
 
と思ったら早速こんな話が。↓
 
◆合意成立の場合、制裁の一部解除を検討
(http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3491267.html)

日本政府は、6か国協議で一定の合意が得られた場合は、エネルギー支援に関して間接的な支援を行うほか、日本が独自に行っている制裁を一部解除する方針であることが明らかになりました。「調査などは国連でやりますが、人が足りない。日本でやれる部分はあると思います」(麻生太郎 外相)麻生外務大臣は11日午前、このように述べ、エネルギー支援実施で合意に至った際は、現地での調査や供給の監視など、実務面で人的な貢献を行う方針を示しました。また、政府関係者によりますと、現在、日本が北朝鮮に対して独自に課している制裁のうち、渡航自粛勧告など一部を解除する方向で検討を進めているということです。制裁の主な部分は堅持するものの、渡航自粛などについては「経済支援の現地業務や日朝事務レベル協議などで担当者の往来が必要」との名目で解除が可能と判断したものです。

政府筋や政府高官が「制裁一部解除」と言ったと思ったら、今度は“政府関係者”か。いい加減にして欲しいものだ。どうして担当者の往来を可能にする為に、わざわざ渡航自粛勧告を解除する必要なんてあるんだよ?単に、それをネタにして、制裁をなし崩し的に緩和しただけじゃねえか。売国議員や工作員の出入りをわざわざ簡単にするとは!
 
あまりに馬鹿馬鹿しい話で、日本政府の「現地調査」や「供給の監視」など北朝鮮が認めるはずなど無いし、国連の調査団など信用出来ない。日本以外の国にとっては、北朝鮮の核問題は「日本が素直に金を出せば平穏に収まる」話なのだ。今回の六者協議でも、日本が拠出すべき支援額は勝手に決められていくだろう。間接的な支援のはずが、“適正な金額”など判明しないままに、直接的な支援を求められるようになり、そしてそれを出し渋ると、いつの間にか「合意を無視するワガママな日本が北朝鮮の暴発を招いている」という論調に変わるだろう。産経新聞ですら、安倍総理いや安倍政権を守る為にそう変わっていく。もちろん朝日新聞もこれに異論があるわけもない。この「日本は孤立化している」という世論作りに協力しているのは他でも無い、安倍政権である。
 
日本がこの六者協議で行なわねばならなかった事。それは、全てに先んじて、日朝部会の開催を議長国の中国に要求する事。それが受け入れられないのなら、支援の話が行なわれる部会の参加を完全拒否し、さっさと日本に帰国せねばならなかった。いいから早く帰って来いや!