何故「レッドショルダーマーチ」は謎だったのか?

◆ついに「レッドショルダーマーチ」の原曲が判明!
kikori2660.hatenablog.jp
の続きのようなエントリー。
 
これをブクマしてくれた方が「高橋監督に聞けば分かる話なのに、どうして24年もの間謎だったのか?」という疑問を投げ掛けておられたので、それに答える様な感じで。
 
◆Armored Homepage「ボトムズ Q&A」レッドショルダー・マーチの正体は?
(http://homepage2.nifty.com/yu1/votoms/av_qa.html#25)

一説によれば何処かのテレビ局(テレビ東京?)のフリー音源をそのまま使ったので、版権の関係でボトムズのサントラには収録出来なかったとか。或いは未確認ですが、作曲者の名はM・ZALLAで曲のタイトルは「AVANZADA」だとか、雲を掴むような情報しか掴めません。別に秘密にする程のことでもないと思うのになぁ。このホームページで情報が公開出来れば、多くの人の疑問が氷解するのに。現在この曲を聞くには、「ボトムズ」のビデオやLDの音源をそのまま使うしかありません。幸い、といってはナンですが、LD版の「野望のルーツ」ではデジタル音声とアナログ音声が別に収録されているため、例のマーチだけを聞き取ることが出来ます(といっても、全編が聴けるわけではないですが)。あの仕様は正に例のマーチを何とかしてファンに聴いて貰いたい、というLD版製作者のプレゼントらしいです。ただ、そのせいで普通にLDを再生すると片方の音声しか再生されず、混乱したユーザーが多く、その辺の質問やクレームでLD版製作者も頭を痛めたとか(笑)。

「Armored Homepage」は高橋良輔監督の手掛けたアニメ作品を紹介する草分け的存在のHP。ボトムズマニアが集まるこのサイトでもイタリアで作られた「AVANZADA」が原曲、という不確かな噂しか手に入らなかった。もう7年ぐらい前の話ですかね。
 
その後、高橋監督がインタビューにて(どの雑誌に答えたものかは、あまりに昔の話で忘れた)「音響スタッフが、既に著作権フリーになっているヨーロッパの映画のサントラから適当に引っ張ってきたので、自分はそれ以上の情報は知らない」と説明していたのです。そして月日は更に流れたと。
 
しかし「daishiのヤマなしオチなしイミなし」さんの情報によると、 2ch「おい!おまえら!ボトムズって音楽イイよな」スレ139にて、次のような報告があったようです。
 

「レッドショルダーマーチ」M.Zalla作曲「Avanzata」に関する情報
M.Zallaのアルバム発見
でも、このアルバムにはレッドショルダーマーチ「Avanzata」が未収録

[artist] m.zalla
[ title ] the folk group ( LP)
[vynyl condition] vg+(+)
[sleeve condition] vg++(ew/rws/wobc)
[nation] ita
[year] 1970s
[lebel] sound work shop
[price] \19,800- (Including tax)
 
伊の作曲家Piero Umilianiの自主ライブラリーレーベルと
言われるSWSからのレアな1枚。
タイトル通りほぼ全曲非常に牧歌的なインストの
フォークロック集でのどかな感じです。
でも何を間違ったかラストの'Underworld'だけは、
全く本編に関係ない鬼ファンキーなヒップホップ調インストファンク。
イントロから強烈に打ってるドラムに、ワゥギター、
腰を直撃するベースのロールも格好良すぎ。
Sound Work Shopの中でもかなりレアな盤と思います。
滅多に見かけません。
 
この情報がレッドショルダーマーチの音源探しに役立つかどうかは分かりませんが......

同じ作曲家(M.ZALLA=Piero Umiliani)が絡んでいるという事で「Avanzata」と「Arrivano I Marines」も同一の曲である可能性が高いですね。
 
mixiボトムズコミュによると、こういう証言もあります。

当時のサンライズのプロデューサから聞いたのですが、この曲は、当時イタリアの多数の曲とのセットで版権許可を得たものだそうです。(期限付き)

更に、2ch「装甲騎兵ボトムズPart47【異変】」スレによると、

昔、音響*1担当の人に聞いたけど
189が書いてる通り、フリーで使える音楽素材に入っていた曲だそうだ。

といった感じで、曲名や作曲者もよく知らないままソレっぽいBGMを見つけて「レッドショルダーマーチ」に仕立て上げた、というのが真相のようです。当然、スタッフを信頼して口をあまり挟まないタイプ、というかあまり仕事をしない事で有名な高橋監督(ファンなら常識w)が知らなかったのもむべなるかな、といったところですかね。
 
同じスレの474氏の推測、 

高橋「この場面に何かマーチっぽい曲が欲しいんだけど、もう乾*2さんに頼む時間も予算もないし。」
浦上「じゃあ、これなんかどうですか。フリーの音源にありましたけど。」
高橋「あ、それでいいよ。それで決まりね。じゃ飲みに行こ。」
 
こんな感じかと・・・

「じゃ飲みに行こ。」という辺りが、監督のインタビューを読み込んでいる人間にとっては、あまりに説得力があり過ぎるのですね(笑)。
 
追記:しかしまあ、インターネットそしてブロードバンドと、この進化が与えてくれた恩恵はボトムズファンにとっては死ぬほどありがたいものですな。一昔前は、コミケの同人誌(製作者がそのまま関係者だったり)ぐらいでしか情報を得られなくてかなり飢えてましたから。ネットで情報交換して、ほんの数秒でポンと目的の楽曲を手に入れられる時代がこうしてやってくるとは、夢にも思わなかった。ああIT社会万歳!

*1:浦上靖夫氏か?

*2:乾裕樹氏:故人