本日の行動
休日出勤。
夕方突然思い立って、映画「グラン・トリノ」を観に行こうと思ったので、学生時代の友人を誘ってみた。場所は以前「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ」を上映していた新宿ピカデリー。
別な友人から「号泣していた人達が沢山居たほど、すごい感動作だった」と言っていたので、ものすごく期待して行ったけど、うん、まあ、普通の名作だよな。
以下ネタバレ。
人種差別バリバリ、何かありゃすぐに銃を向けるようなキチガイ寸前のイーストウッド演じる白人頑固親父。これは、海原雄山ばりのツンデレ属性を持ったオッさんが、隣の家に住むモン族の少年やその家族達に心を開いていく様を楽しむ映画だ(いやマジで)。
しかしながら、同じモン族出身の少年達によるギャングがこの家族に付きまとい、危害を加え始めた。そこで立ち上がった我らがイーストウッド!無法なクソガキ共を皆殺しにしてやれ!!
……と思ったが、その最期は丸腰でギャングの元に乗り込み、相手を挑発して自分を撃たせるという戦法。蜂の巣になって死にながらも、引き替えにギャングをムショ送りにする事で少年の家族を守るというオチ。まあ、たしかにギャングを全員ブッ殺しても、少年には何の教訓にもならんもんなー。恥ずかしながら、俺なんてこの頑固親父が射殺される直前まで、ギャングの家の周りに仕掛けておいた爆弾がいつ爆発するかって大ドンデン返しを期待してた。んなわけねーだろ。
なんか「ロッキー・ザ・ファイナル (特別編) [DVD]」「ランボー 最後の戦場 コレクターズ・エディション [DVD]」を観終わった時のような虚無感があるよね。ロッキーやランボーが引退するがごとく、イーストウッド最後の花道というか。とにかく寂しい。戦いに疲れた老兵がまた一人去るようで。もっとも、戦いとはアフガンでも朝鮮でもなく、あくまでアメリカ内の閉じた話だと思うんだけどね。
アジア系やヒスパニック系によって浸食されていくアメリカ文化、白人ブルーカラーの喪失物語、というよりは、アメリカンドリームを夢見た白人系移民の没落を淡々と描いている感じだ。主人公のこの頑固親父からしてポーランド系だし、口汚く罵り合える間柄の床屋店主はイタリア系、少年の仕事を紹介する為に連れて行った先の現場監督はアイルランド系。考えてみれば、登場したギャングもメキシコ系に黒人系とマイノリティばかりだ。そんなマイノリティばかりの登場人物達が、この映画のタイトルでもあり、アメリカ文化を体現するフォードの自動車「グラン・トリノ」を求めているのが皮肉だ。「トヨタ・プリウス」じゃ映画にならんしな。劇中、日本人を含む白人以外のマイノリティを口汚く罵る主人公ではあるが、作品を通して偽善ではない温かい眼差しを感じた。めちゃめちゃ泣きこそはしなかったけど、普通に名作。
以下、この映画を観て思い出した作品。
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上映終了後、新宿のおでん屋「お多幸 新宿店」で友人と一杯やるが、値段の割りにはお粗末な味。スーパーやコンビニで売っている方が余程旨いという。