キャシャーン再評価

再評価、と言っても別に誉めるつもりもないんだけど。しかし、はてなで感想を見てみると「こんなの映画じゃ無え!」という評価が結構目立つ。その一方で押井ファンのイノセンス評のごとく「その演出も、全て監督の意図なんだよ!これを批判する奴は紀里谷の掌の上で踊らされてるんだ!!」とご立腹の方も。そこまで怒らなくても。そこでどうして「映画になっていない」という意見が出るのか考えてみると、よく言われる「ストーリーが破綻している」「心理描写をそのまんまセリフにしちゃってる」という理由だけでは無い気がする。そもそもこれは、「映画」じゃない。これは「PVもしくはCM」の寄せ集め、その結果が2時間以上のものになっちゃっただけ。別にこれは悪口じゃない。ただPVやCMの性質上、5分・30秒の枠に詰め込まれる映像のカッコ良さを追求したのであって、ストーリーの繋がりとか整合性なんかは二の次。イケてるカットをとにかく羅列する事が出来れば、それで良かったのだろう。「キャシャーンが手刀でスバっと敵ロボットをぶった斬る!そして決めポーズ!」「唐沢寿明が古城風の基地でマントを翻し、そして決めゼリフ!」「ラストは夕日をバックに、蘇ったヒロインとキスシーン!何故甦ったかって?甦らなきゃキス出来ないだろ!?じゃあ何故殺したのかって?殺さなきゃちっとも衝撃的な絵にならないだろ!理由なんてどうだって良いんだよ!!カッコ良ければ!!!」ま、勝手な想像ですが。
 
漫画で言えばちょうど「CLAMP」だな。確かに漫画のコマは単体でイラストになるほど、構図に凝っていてカッコ良い。でもそれだけ。
 
でも、ムリに「映画」しなくて良いんです。現実に支持する観客がいて、金を出す映画会社があれば。かなりアリな映像作品。