自衛隊体験入隊一日目

「殺す気か!」と叫びたくなった。ダチョウ倶楽部上島竜兵のごとく。幾らなんでも話が違い過ぎる。確かに去年の体験入隊は時間の縛りは厳しかったものの、行進訓練レベルの緩やかな運動が続き、想像していた程のものではなかった。休憩時間には煙草をプカプカと吹かしジュースを自販機で買って飲む暇もあった。それに物足りなさを覚えた支部長(元レスリングで国体にも出場した漢)が「今年はもうちょっと厳し目でお願いします」と依頼したのが地獄の始まり始まり。しかし肝心の支部長は仕事が多忙で来れないというオチからスタート。
 
初っ端の「匍匐前進」で死にそうになってるし。教官には「フルメタル・ジャケット」に登場するハートマン軍曹ばりに罵倒される。「アメリカ国籍を取れ!それでアメリカを内部から弱体化させろ!」「なんだ、それなら日本好きな外国人に負けてるぞ!お前の愛国心とはそんなものか!」「その程度の事が出来ない奴に天下国家を語ってもらいたくないな!」「死ね、死なないんなら俺が殺してやる!」「この食事は国民の血税で賄われている!米粒一つ残さずありがたく頂け!でも長い時間をかけて食う必要は無いぞ、腹に入れば一緒だからな!」「俺は靴紐を本結びにしろと言ったんだ!それは朝鮮結びだ!お前は朝鮮人か!?」「お前は家畜以下だ!屠殺場に送ってやろうか!」水分を全く取らせてもらえないので、脱水症状のごとく体が熱くなり、動かなくなる。徒手格闘の面の上からホースで水を飲ませてもらって何とか生き返る。調子に乗って教官にスパーを挑んだら、顎をしたたかに打たれて次の日からまともに物を噛めなくなったのだった。