復党問題について思う事

実のとこ言うと、平沼赳夫自民党に戻ろうと戻るまいと、その事自身はどうでも良いんだよな。数日前のこの日記に、九州某県の大学教員(小泉バッシングを潰そうとして、電脳補完録の管理人を始め、様々なブロガーを扇動したが、結局失敗し、俺を逆恨みしている馬鹿)が「平沼は拉致救出運動なんかしてないじゃないか!」とコメント欄に書き込みをしてくれやがったが、議連会長の存在意義なんて、そんなもん。何ちゃら議連は幹事長が居れば回るもんです。ありゃ、拉致議連のそれって西村だったか(苦笑)。でも、拉致問題を切り捨てて、北朝鮮との国交正常化に前向きな中川(女)が幹事長である以上、その方針に反対である実力派議員が自民党内に戻る事は歓迎すべき事ですから。
 
だからこそ、◆「復党問題こそ安倍首相の踏み絵」(id:kikori2660:20061123#1164296507)とまで言って、安倍総理拉致問題解決における本気度を見極めようと思ったのだが。非常に残念な結果になっちゃった。結局のところ、ものすご〜〜〜く中途半端な結果。野田聖子なんてどう考えてもいらんだろ(笑)。麻生太郎が「復党の話はもっと早く終わっておけばよかった。2か月もかける話だったのかと思う」と言ったそうだが、その通りで、訪中や訪韓する前にとっととやっとけってば、って話。そもそも、今回の復党問題以前に、郵政選挙そのものが馬鹿げた茶番だと思っているから。
 
「掲示板 声よ届け!波濤の彼方へ」の管理人、沢村さんが今朝の読売新聞に掲載されていた評論家の西部邁氏の論評を紹介していたので、転載させて頂きます。

Q:復党問題をどう考えるか。
 
西部:問題は、郵政民営化が天下の正義であるかのように世論が信じ込まされたことにある。小泉氏は「郵政民営化は自分が総理総裁になったときの公約だから、自民党は公約を守るべきだ」と言った。公約が民衆の直接的指示を得たのだとしても、日本は間接民主制。つまり議会制民主主義だ。議会で議論した結果、公約に問題があるなら公約の放棄や修正もあるはずだ。ところが昨年の総選挙は、小泉氏の「郵政民営化に反対した者は立候補する資格なし」という考えがまかり通り、造反議員の選挙区に刺客候補が立てられた。この点、マニフェスト政治の考え方が日本の民衆に受け入れられていたことが、影響していると思う。マニフェスト政治は直接民主制の恐るべき考え方だ。公約に数値目標や期限や段取りを明記しろ、それが出来なければ選挙で政権交代だと。これでは議会なんかいらなくなる。
 
Q:復党に賛成だと。
 
西部:安倍さんは、刺客騒ぎに批判的な気持ちを持っていたと聞く。僕が安倍さんなら次のように言う。「自分は小泉政治を支持することにしてきたが、あの郵政民営化には少なからず問題があった。除名したのも軽率だった。しかし、何はとにあれ郵政民営化は決着した。この現実を見据えた上で議論に参加してくれるなら、全員の復党を認める」と。こんな下らぬ政策問題について「信念の闘い」などという中川幹事長のせりふは、猿芝居の最たるもの。復党問題は選挙区の事情に関する政治家の打算問題に過ぎない。
 
Q:復党は有権者への裏切りとの声もある。
 
西部:日本の長期的利益を表明しなければならない立場の者が、もし政見が異なるなら断固として別の政党に居続けたり、無所属を貫く必要があろう。平沼氏が復党願を出しながら、誓約書という踏み絵を踏まなかったのは当然だ。
 
Q:世論は復党に反対の声が多い。
 
西部:パプリック・オピニオン(世論)には輿論(よろん)と世論の2種類がある。庶民は、政策について知識はなくとも、人生経験や職業生活から来る人格的な判断能力を備えている。そのような庶民の根本にある、常識のようなものが輿論だ。これに対し世論は、流行の論になじんだり、流れ込んだりするもの。郵政民営化に対する世論は一時の流行にすぎない。デマゴギーのデマとは、ウソ話と思われているが、本来は民衆的ということで、デマゴギーとは民衆扇動。ギリシャ時代から、民主政治は扇動家に巻き込まれやすいのは明らかだ。小泉氏の「郵政改革なくして構造改革なし」という言葉は、扇動のためのレトリック(修辞)だった。
 
Q:刺客戦術は、首相の指導力を発揮する手段になった。
 
西部:指導力は決断力と説得力の二本足で立つべきものだ。しかし、今の日本では、決断力だけが指導力との思いこみが強い。日本人は自らの不安神経症のため、小泉氏が「郵政民営化のため殺されてもいい」と言うと、そこに異様な決断力があると思った。だが、世の中は矛盾に満ちて一筋縄ではいかない。その矛盾の中でバランスを保つには、知見と経験に加えて文意の定かな表現力が必要だ。平沼氏のような人格的な能力があってこその説得力ではないか。

ほぼ同意。郵政選挙のあの不気味さは「あれだけ熱心に訴え、衆議院を解散までしたのだから郵政民営化はきっと正しいに違いない!日本の構造改革を進める為には、小泉自民党に投票するしかない!」という熱狂(フィーバー)の中にあった。この熱狂に水を掛けたという意味で、造反議員を評価したいと思っている。でも野田聖子はやっぱいらねーだろ(笑)。
  
ところで、毎日新聞は、今回の件について小泉前首相の関与にも触れている。
 
造反組復党:いったんは一括容認…揺れ動いた調整
(http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20061128k0000m010135000c.html)

造反議員復党問題で首相の安倍晋三はいったん落選組を含めての一括復党を容認したが、その後、前首相・小泉純一郎や幹事長・中川秀直らの巻き返しにあい、最終的には「平沼(赳夫・元経産相)抜き現職11議員復党」で中川に結論を委ねた。揺れ動いた調整を検証する。
 
復党の出発点は、10月10日に行われた安倍、中川、元首相・森喜朗参院議員会長・青木幹雄の4者の極秘会談だった。安倍が日中、日韓首脳会談を終え帰国した翌日の夜、安倍は東京・紀尾井町赤坂プリンスホテルにある中華料理店に入った。報道各社には「首相秘書官との会食」と説明されたが、実際は席を抜け出し、森、青木、中川との会談に臨んだ。現職、前職合わせた造反組の一括復党が参院選対策に不可欠とする青木の意を受け、森が中川に命じセットした。
 
青木は参院選の分厚いファイルを持ち込み、来夏参院選の焦点となる1人区の情勢を逐一、説明した。一つの選挙区の説明が終わるごとに「いいですね」と念押しする徹底ぶりだった。
 
しかし、中川は青木の指摘に懐疑的だった。果たして造反組の復党が参院選にプラスなのか−−。中川は後に「参院自民党の考え方が理解できない」と周辺にこぼす。
 
安倍が青木に「復党の条件はどうしますか」と聞くと、青木は「そんなの無条件だ。いいですか、総理。腹をくくってください。造反組の早期、一括の復党が絶対に必要ですよ」と激しく詰め寄った。「やらないならそれでもいいけども、その時は私は来年体調を崩して入院するだけです」と暗に、参院議員会長を辞する脅しまでかけた。「参院選で負ければあなたはおしまいだ。それを乗り越えたら長期政権になる」とたたみかけ、森も「時間を置いちゃだめだ。一気にやらないと反対論が頭をもたげる」と同調した。
 
中川は造反組を復党させず統一会派をまずは結成する案も持ち出したが、青木氏は「そんなのダメだよ」とはねつけた。中川は「(22日に)衆院の統一補選があります。それが終わりましたら」と補選後の復党をにおわせたが、決して本心ではなかった。安倍も「わかりました。具体的な手順は幹事長に任せます」と了解したが、胸中は揺れ動いていた。
 
森、青木は会談結果に満足した。しかし、安倍、中川は4者の合意をほごにしようと巻き返しを図り、これが党内の亀裂を拡大していった。
  
神奈川、大阪の衆院補選完勝から2日後の10月24日、前首相・小泉純一郎参院自民党議員会長・青木幹雄を念頭に「参院は間違っている。参院選に負けるぞ」と漏らした。これが党内に波紋を広げる。昨年の郵政選挙で「刺客」擁立を主導した前幹事長・武部勤国対委員長二階俊博ら「小泉シンパ」や刺客で当選した新人議員らが小泉発言に呼応し、復党論への反発が噴出したのだ。
 
展開に驚いたのは首相の安倍晋三だ。安倍は郵政解散に当初は反対し、造反組の元経済産業相平沼赳夫衆院議員・古屋圭司らと親交が深いが、小泉らを向こうに回して青木や元首相・森喜朗らに軸足を移す腹はさらさらなかったからだ。
 
こうして、11月10日の会談で幹事長・中川秀直が青木に一蹴(いっしゅう)された「統一会派」案が再浮上する。総裁選中に復党容認論を口にした安倍も、ブレーンの一人から「筋道立てないと政権が甘く見られる。統一会派でいいじゃないですか」と進言されたことが頭に残っていた。会派を組んだ上で復党を探る2段階論だ。
 
中川も同様だった。小泉路線を否定しない形の復党条件は郵政民営化を踏み絵にする他ないが、2度も法案に反対した平沼氏の存在がネックとなって造反組が拒むなら、統一会派を先行させるしかないと思い定めた。
 
11月16日、平沼と昼食を共にした中川は「まず統一会派で行く考えはないか」と打診したが、平沼は拒絶。これを境に中川はハードルを上げ始める。翌17日の記者会見で、落選組は復党の対象にしない考えを明確にし、最終局面の25日にも「首相の本音は院内統一会派」と揺さぶり続けた。
 
しかし、肝心の安倍は中川に丸投げの状態が続く。ベトナムでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)から帰国した20日も「支持率落ちてもいいけども。世の中の見る目が厳しいなあ」と周辺に漏らしたが、「復党ありき」の流れを覆そうと自ら積極的に動くことはついになく、中川のハードル設定も、しょせんは復党に向けた条件整備でしかなかった。
 
27日午後1時半、中川から11人復党の報告を受けた安倍は、小泉に電話を入れた。経緯を説明する首相に、小泉は「あなたの考えはわかった」と言葉少なに返答しただけ。小泉の側近は「一人でも復党させたら、安倍内閣小泉内閣の継承者じゃない」と、安倍や中川への不満を漏らした。

うーん。どうだろう。小泉前総理が積極的に復党反対に動いたというよりは、安倍総理が小泉の幻影に踊らされて自滅し、足して二で割るようなおかしな決定を認めてしまったように感じる。