安倍晋三の決断を求める その2

昨日のエントリーで述べた通り、安倍氏は飼い殺しの状態になっています。しかしそれから脱しようとすると、平沼赳夫のように抵抗勢力として糾弾されるか、現在も行われているように「週刊現代」などのメディアを使って、北朝鮮にとって都合の良い“安倍叩き”や“家族会叩き”の動きが加速するものと予想されます。安倍氏本人も、今苦悩の日々を送っているのではないでしょうか。自分の政敵は、自分の下に組み込んで管理するか、そうでなければ抵抗勢力として攻撃対象にし放逐する小泉のやり口にどう対抗すべきか頭を痛めているでしょう。
 
ところで、未だにこの家族会を批判する為に使われているロジック「まがいなりにも、拉致被害者五人やその家族を取り戻した小泉首相に感謝もせず、罵声を浴びせた家族会は許せない!」を、再度きっちりと否定しておかなければいけないようです。
◆「未だ前例のない秘書会が結成−拉致議連秘書会」
(id:kikori2660:20050217#p2)

こちらの講演会(id:kikori2660:20041119)で語っておられる通り、拉致問題に関してはずっと第一線で戦い続けてきた人物である。その日の日記では触れていないが、平成14年9月17日に行われた日朝首脳会談拉致被害者達が帰国した10月15日で小泉政権がやろうとした企みを全て暴露した。金正日拉致被害者5人を日本に帰国させる気など毛頭無く、小泉は自らの親分・森善朗が寺越武志さんに対して行ったのと同じ「拉致被害者の一時来日・北朝鮮への再拉致」に協力しようとしていた。佐々木氏が外務省から受け取った拉致被害者達のスケジュール表、その最終日に記されていたのは「お土産の購入」である。お土産の購入とは紛れも無く、拉致被害者を日本人として国内に引き留めるどころか、北朝鮮の国民として再び送り帰す気マンマンだったという事だ。拉致被害者家族の蓮池透さんの著書「奪還」(ISBN:4104599018)で描かれているように、蓮池薫さんは家族の必死の説得・努力でようやく思い留まり日本で北に残した家族を待つ事を決断した、という非常に危うい状況だった。つまり金正日は自分自身を、自ら関わった爆破テロの首謀者だとは決して認めず、5人をあくまで一時的に帰国させ拉致被害者に「将軍様のおかげで北朝鮮で楽しく生きてます」と言わせ、「自分達に会いたければ、家族の方から北朝鮮に来て下さい。日朝国交正常化をすればいつでもスムーズに往来出来ますよ」という形で拉致問題をウヤムヤにしたかったのだ。

この通り、小泉と外務省は「五人の一時帰国」で拉致問題を終わらせようとし、北朝鮮との国交正常化に突き進むつもりだったのだ。それを防いできたのが安倍晋三中山恭子さん。家族会からの信用も厚かった当時の中山恭子内閣官房参与
◆「中山参与辞めないで」 辞意めぐり家族会が声明
(id:kikori2660:20040929#p1)
で紹介したように、謎の辞任をさせられた。これはやはり拉致被害者曽我ひとみさんの夫、ジェンキンス氏をインドネシアから日本国内に連れ戻したスタンドプレーが気に入らなかった官邸の意向だと考えるのが自然だ。同じ理屈で、小泉は安倍晋三を許さない。自分の、北朝鮮との国交正常化の功績を台無しにした安倍晋三を許さない。大人しく、自分の下でそれを傍観するならそれで良し、だがそれ以上の邪魔は決して許さない。今はそんな状況ではないでしょうか。
 
ちなみに、衆議院総選挙前の候補者選びの際に、小泉はその中山恭子さんに声を掛けていたそうです。
◆郵政反対派に対抗馬 小泉首相岡山市長に立候補要請
(id:kikori2660:20050811#p3)

女性候補について党内では、北朝鮮による日本人拉致問題で被害者家族からの信望が厚い中山恭子内閣官房参与や、川口順子前外相の名前が挙がっている。

その名前が挙がった時は、私ですら小泉の拉致問題に対する姿勢の変化に少し期待してもいいのかな、と思ったものですが今では微塵も期待していません。中川昭一経産相安倍晋三幹事長代理の意見すら全く寄せ付けない小泉が、ただの国会議員の一人の言葉に耳を傾けるとは到底思えません。しかも郵政民営化ブームで当選した小泉チルドレンとやらはこんな痛いのばっかでだし。
◆Let's Blow! 毒吐き@てっく「痛いぞ!小泉チルドレン・・・」
(http://tech.ciao.jp/blog2/archives/2005/09/post_111.html)
この「川条しか」って新人議員、あまりに痛過ぎる・・・。小泉の年金政策や郵政民営化法案否決における衆議院解散や刺客送り込みを批判していたその同じ月に公認を貰うと一転、「抵抗勢力を倒します!」「郵政民営化を進めます!」と大絶賛。こんな変わり身の早い候補は聞いた事も無い!てっくさんによると、グーグルのキャッシュまで消して証拠隠滅を計ったようですが、まだその痕跡が残っているようでご苦労サマご愁傷サマって感じです(笑)。救う会大阪の青年幹事を務めていたようですが、これは何の信念も無い、拉致問題を利用して成り上ろうとした下衆女ですね。中身の無いタイゾー君の方がよっぽど害は無くマシでしょう(笑)。あ、そうそう選挙前に、横田滋さんに直接、中山元参与の出馬の話をどう思いますか?とお尋ねした事あったんですが「そんな擁立をするくらいなら、小泉さんは始めから中で(内閣の参与として中山さんを)働かせて下されば良かったのに・・・」とおっしゃってました。最初から全く期待していなかったのですね。その他、「総理は有○裕子さんに声を掛けて、にべも無く断られたようだ」という情報も教えて頂いてました。中山恭子さんも有○さんも自分がただ利用されている事を自覚されていたんですね・・・。
 
ちょっと話は飛びましたが二回目の訪朝後、小泉首相と面談した家族会は苦言を呈する前に、ちゃんと「お疲れ様でございます」等、労いの言葉をかけていました。後の報道では、時間の都合かマスコミの意図があったのかは分かりませんが、この最初の家族会の人々の慰労の言葉はカットされてしまいました。そこが色んな誤解を受けたようです。