日本の“対北朝鮮支援”のカラクリ その2

さて、その六者協議にて合意された文章。その一部を抜粋。
 
◆共同声明の実施のための初期段階の措置
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/6kaigo/6kaigo5_3ks.html)

4.朝鮮民主主義人民共和国と日本国は、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとるため、二者間の協議を開始する。

その概要と称されるもの。
◆第5回六者会合第3セッションの概要

(3)日朝
日朝平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための協議を開始する。(「懸案事項」には、拉致も含まれる。)

概要はあくまで概要であって、公式な文章に書かれたものでも何でもなく、括弧で付け加えただけ。これを以って「拉致問題も懸案事項として盛り込まれている」と強調するのには無理がある。“拉致問題は解決済み”とする北朝鮮にとってみれば、日本が勝手にそう解釈しているに過ぎない。
 
そして安倍政権が「既に北朝鮮が無効を宣言しているのだから、わざわざ日本から破棄する必要は無い」と説明していた筈の日朝平壌宣言が復活した。あくまで、この宣言は私的なものであって、国家間を縛るものでは決して無い。それに関しては「中山恭子拉致対策本部事務局長に聞く 緊急集会」(id:kikori2660:20070212#1171296238)に来た拉致議連事務局長である西村真悟はこう述べている。

「日本と北朝鮮日朝平壌宣言を結んだ」というのは間違いである。立法府に属する人間としてこれだけははっきり申し上げておきたい。何故なら、その宣言は小泉純一郎金正日が結んだものであって、我が国の議会にて承認されたものではないからだ。

しかしあろう事か安倍政権によって、この宣言は国際的に認められ、日本国を縛るものに変貌させられたのである。・・・・・・中山恭子さん、俺に嘘付いたね・・・?そもそも、この当時の安倍官房副長官平壌宣言締結時において小泉総理に対し“このような宣言文に対して署名するべきではない”と進言した、と得意げに語っていた過去があるのだ。まだ覚えておられる方もいるだろう。
 
日朝平壌宣言
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html)

3.双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。

六者協議の合意文章と同じく「“懸案問題”には拉致問題も含まれている」と小泉政権は説明した。しかし、これまでの経緯と同じく、北朝鮮は「拉致問題は解決済み」の態度を崩さないであろうから、全く意味が無いであろう事はお分かり頂けると思う。拉致の“ら”の文字すらない、一方的に日本が北朝鮮に経済支援を行なう約束をしただけの宣言に従え、という馬鹿げた状況に日本国を、安倍政権自身が追い込んだのである。