政府のプロパガンダを垂れ流す産経新聞の「大本営発表」

◆景気「いざなぎ」に並ぶ 月例報告「回復」判断維持へ
(http://www.sankei.co.jp/news/061008/kei002.htm)

平成14年2月に始まった現在の景気回復局面が、今月も続くことが確実になった。政府が12日に公表する月例経済報告の基調判断で「景気は回復している」との現状認識を維持する方針を固めたためで、景気回復の期間は戦後最長の「いざなぎ景気」(昭和40年11月から57カ月間)に並ぶことになる。また、先行き判断についても「景気回復が続くと見込まれる」との判断を維持する方向で調整している。11月まで景気回復が続けば、いざなぎを超える58カ月となる。「回復している」との景気認識は、今年2月から続いている。9月の月例経済報告では、個人消費などの4分野で判断が下方修正され、原油価格の動向などへの懸念が示されたものの、9月の企業短期経済観測調査(短観)では企業の好調さが改めて示された。8月の景気動向指数でも足元の景気の底堅さが示されており、10月の月例経済報告では基調判断の据え置きとなった。設備投資や個人消費についても、9月の判断を維持する方針。

◆景気判断、下方修正へ 「いざなぎ」超えは確実
(http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006111801000175.html)

政府が22日に公表する11月の月例経済報告で、景気の基調判断の表現を「回復している」から、やや弱めて「消費に弱さがみられるものの回復している」などと、1年11カ月ぶりに下方修正する方向で調整していることが18日、分かった。基調判断の表現は「緩やかに回復している」にする案もあるが、景気の回復局面が続いているとの大枠の判断は変えない。2002年8月に始まった現在の景気拡大期は、戦後最長だった「いざなぎ景気」(57カ月)を超えるのが確実となった。基調判断を下方修正するのは、賃金が伸び悩んで個人消費が弱含んでいるため。個人消費の判断は「このところ伸びが鈍化している」から「おおむね横ばいになっている」に下方修正する。原案を作成している内閣府個人消費について、今後の景気の「最大の懸念材料」(幹部)とみており、月例経済報告では、こうした認識を強く打ち出す判断に傾いた。(共同)

そもそも、ホントに景気回復なんてしてたのか?という疑問があるのだけど。小泉政権に対し「どん底の日本経済を救ってくれてありがとう!これこそ構造改革に向けて頑張ってきた成果だ!!」だなんて阿呆みたいなマンセーっぷりを開陳していたマスコミの中で特に目立っていたのが産経新聞なわけだけど。
 
◆「靖国」中国の政治利用を立証 日中首脳会談
(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/28263/)

ハノイ古森義久】日中首脳会談は「歴史」がまったく語られなかった点で皮肉にも近年の日中関係の歴史に特筆される会合となった。懸案のはずの靖国も中国側からの言及はなく、いわゆる靖国問題が中国側の政治加工による外交戦略カードとしての要素が強いことを期せずして立証したといえそうだ。
 
ハノイで開かれた安倍晋三首相と胡錦濤国家主席による首脳会談はAPECを利用し、しかも前回の会談からわずか6週間後という限定があったとはいえ、日中間の東シナ海ガス田問題、経済問題、核兵器問題から北朝鮮の核開発への対応まで広範なテーマを論じた。
  
だがこれまで日中関係を悪化させたと断じられた日本側の首相らの靖国神社参拝も、それと一体にされる日本側の歴史認識も、まったく論題とならなかった。
  
日中首脳会談では少なくとも1998年に当時の江沢民主席が来日して「歴史を鑑(かがみ)として未来に向かう」と日本側に訓示を垂れて以来、中国首脳は必ず「歴史」を語ってきた。もちろん日本側の歴史認識が不十分という批判である。以後も小泉政権の全期を通じて、日本側の親中派の「靖国のために日中首脳会談が開けず、日本は孤立している」というプロパガンダふう主張とは異なり、首脳会談は毎年、開かれてきた。  
  
胡主席になっても中国側は2005年までのすべての日中首脳会談で必ず「歴史」と「靖国」の両方を声高に告げてきた。
  
安倍首相が臨んだ10月の会談でさえ例外ではない。
  
ところが今回は両方とも消えたのだ。その間、日本側では安倍首相は靖国をあいまいにはしても、譲歩はみせていない。日本側の歴史認識小泉政権時代と変わった証しはない。となれば、中国側の自主的な判断で靖国や歴史を提起しないことにしたと考えるしかない。政治的な意図により対日折衝での靖国問題などは出すことも、引っ込めることも自由自在だという実態が裏づけられたといえよう。「13億の中国人民の感情が傷つけられたため」に中国政府としてはやむにやまれず、提起するほかない、という構図とはまったく異なるわけだ。
  
もし日本の首相の靖国参拝で中国人民が傷つき、自国政府を動かすというのならば、水が泉のように自然にわき出して、日本側にもぶつけられるということだろう。ところが今回の会談は中国側が実は水道の蛇口をひねるように人為的に水を出したり、止めたり、水量を調節したり、という実態を期せずして証したといえそうだ。
  
中国側は今後も政治や外交の計算次第で靖国問題を持ち出してはくるだろう。だがその提起が自国にとってなんの得もなく損ばかりだと基本の判断を下せば、日中関係でのいわゆる靖国問題というのは終わるのである。靖国参拝は本来、日本の外交の一環でも、中国側への意思表示でもないからだ。

全く。古森氏といい、阿比留瑠比氏といい、産経新聞に論文を載せる保守派言論人といい「日本外交は中国に勝利した!」などというデタラメを何故ここまで流布するのだろう。本当に中国が“靖国批判”を引っ込めていて、今後政治利用するつもりが無いというのなら、安倍総理が秋の例大祭に行かなかった説明にはなっていないではないか。中国がこの件にて安倍総理を非難しない理由は、別に政治の素人の俺にだって分かる。「総理就任中には靖国参拝をしないから、中国側もそれを持ち出すのは止めてくれ」という約束を裏で交わしているからだろう。「参拝中止という譲歩などしていない」「歴史認識は変えていない」と言い、中国からの圧力に屈したという事実そのものを否定しながら、「今は我慢の時期。憲法改正までグっと耐える時」「来年の秋の例大祭にはきっと靖国参拝してくれるに違いない」という矛盾した解説を行なう。
 
その阿比留氏がこの日記のコメント欄にやって来て「西村代議士も、李登輝さんの本を引用して安倍さんの態度に理解を示してますよ」などと言う。どういう文脈でそれを語ったのかは知らないけども(一応、事務所にメールを出して聞いてみよう)、結局それは現在圧力に屈している事を証明しているだけではないか。もし西村が本気でそう言っているのなら、何か調子が狂ってる*1のではないかと疑いたくなる。この件に関しては、小林よしのりの方が的確に物事を見抜いていると判断せざるを得ない。いくら戯言を並べようとも、安倍晋三中共に対し、屈辱的な大敗北を喫しているのだ。だがそれを覆い隠す為、産経新聞安倍総理が退任するまでこうした提灯記事を定期的に書き連ねるのだろう。
 
「読者を馬鹿にするのも程々にしろよ!」と言いたくもなるが、中国や朝日新聞を叩いとけば「GJ!」とか言って持ち上げる思考力ゼロ政権マンセーネトウヨばっかだから、ナメてくるのも仕方無いのか。この古森氏のエントリーにトラバを飛ばしている人達のブログでそういうツッコミ精神を持った人もほとんど居やしないからなあ。俺自身の政治信条は、もちろん安倍総理産経新聞のそれに近いだろう。前任の小泉に比べれば拉致問題への取り組みにしても、格段に向上している事は否定しようも無いが、無批判にやる事為す事全て持ち上げるつもりもさらさら無い。
 
特に拉致被害者救出運動を応援する人達には心得ておいて欲しい。
 
日朝平壌宣言を破棄せぬ限り、安倍政権を完全に信用してはならない」と。これを手放さぬ限り、北朝鮮との国交樹立と莫大な経済援助の拠出を諦めようとはしていないという証明にはなっていないのだ、と。特定失踪者の松本京子さんは拉致被害者である、とようやく警察が断定した。しかし何故これまで松本さんの被害を断定出来なかったのか、そしてどうして同じように拉致の可能性が濃厚である特定失踪者が拉致被害者であると認められないのか、不思議である。この対応、つまり拉致認定の数を増やす事をカードとして交渉するような、特定失踪者を駒扱いにしているような政府の姿勢に少なからず不快感を覚えてしまうのだ。
 
◆拉致認定基準拡げるべき、荒木代表訴え
(http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn/20061119/20061119-00000020-jnn-soci.html)

特定失踪者問題調査会の荒木和博代表が兵庫県三木市で講演し、松本京子さんだけでなく、政府は拉致認定基準を拡げて、拉致の疑いが濃い失踪者をより多く認定すべきだと訴えました。「今の認定の基準を大幅に下げてもらわないといけない。(2002年以降の)4年間で(拉致認定が松本さんで)2人ですから、2年に1人のペースで、こんなことでやってたら、とても間に合いませんので」(特定失踪者問題調査会・荒木和博代表)このなかで荒木代表は、20日に政府が正式に拉致認定する松本京子さん失踪について、「松本さんと同じ1977年で、かつ、横田めぐみさん、拉致の前日に鳥取米子市で旅館の仲居の女性が失踪したケースなど、鳥取だけでも3件の拉致の疑いがある事件が起きている」と述べました。そのうえで、政府が松本さんだけではなく、ほかの拉致の疑いが濃い失踪者についても、政府の拉致認定基準を拡げて認定を急ぐべきだと訴えました。

北朝鮮にいる拉致被害者日本にラジオ短波で呼び掛ける「しおかぜ」に対する政府の援助決定には荒木さんも感謝しておられるとは思うけれども、この発言からみても、不信感が拭い切れていないのじゃないかなぁ。
 
そして六者協議は来月にも再開される。
◆米国「北朝鮮核放棄なら朝鮮戦争終了宣言検討」
(http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?News_id=712006111900800&FirstCd=01)

ブッシュ大統領が韓米首脳会談で「北朝鮮核兵器と核に対する野望を放棄した場合は、安保協力とこれに応じた誘引策を提供する」と述べたことで、米ホワイトハウスは18日、米国が構想するその具体的リストの中に、停戦状態にある朝鮮戦争の正式終了宣言が含まれると明らかにした。スノー報道官が同日の定例会見で伝えた。また、経済協力や文化・教育などの分野でのつながりを強化することも含むとしている。 1950年に勃発した朝鮮戦争は1953年に停戦し、正式な平和協定が締結されないまま、事実上終結している。 これに先立ちブッシュ大統領は、ベトナムハノイで行った盧武鉉ノ・ムヒョン)大統領との韓米首脳会談で、「われわれの意志は北朝鮮問題を平和的に解決すること」と述べ、北朝鮮に対する条件付きの誘引策提供構想の一端を明らかにしている。一方、青瓦台(大統領府)の宋旻淳(ソン・ミンスン)統一外交安保政策室長は、首脳会談後「両首脳は北朝鮮に対する経済支援と安全保障、平和体制問題について、可能な措置について協議した」と説明している。経済的支援には、南北共同宣言でのエネルギー支援が含まれているほか、安全保障問題についても、米朝関係正常化、朝鮮半島平和体制の構築過程で当然提起される問題だとしている。しかし、いかなる内容であれ具体的に公開されることは時期尚早だと指摘し、6カ国協議の場で内容が討議されるとの見方を示している。

朝鮮系マスコミのニュースという事であまり信用したくはないが、事実とすればかなりの衝撃。まあ、北朝鮮が核を放棄するとはとても思えないけれど。ブッシュ大統領横田早紀江さんと面会した事を振り返って「私が大統領として最も重く受け止めたのは、北朝鮮に娘を拉致された話を日本人の母親から聞いたときだった」とまで言わしめたが、やはりアメリカにとってはアメリカの国益を優先する事、これが米大統領の責務として当然であるし、自国民奪還の為に最も力を入れるべきは日本政府であって、アメリカに対する過剰な期待や依存から脱却すべきではないか。
 
◆日韓首脳会談“拉致へのこだわり”にくぎ
(http://www.news24.jp/71480.html)

安倍首相は中国・胡錦濤国家主席とも会談し、北朝鮮に対しては6か国協議を通じて連携を強化することで一致した。しかし、安倍首相が「対話と圧力が必要だ」「拉致問題が解決しなければ制裁は解除できない」と主張したのに対して、胡錦濤国家主席は「対話で解決することが各国の利益に合致する」として対話の重要性を強調し、それぞれの立場を述べ合うにとどまった。
 
また、日本時間18日夜の韓国・盧武鉉大統領との会談で、安倍首相が「拉致問題の早期解決は内閣の最重要課題だ」と述べたところ、盧武鉉大統領は「6か国協議の場で拉致問題にこだわりすぎて、核問題の解決に影響を与えてはいけない」とくぎを刺した。

こいつ等、特にノムヒョンに対してくたばりやがれっと毒づきたくなるが、核問題の始末が付いた場合、当然北朝鮮の経済的苦境を助けてやれという話になる。アメリカを含む4カ国がそれを容認した際、靖国参拝程度の事すら為し得ない安倍政権がそれを断固拒否出来るか。もしわずかな人数の拉致被害者を返してきた場合、それを跳ね除けて「全ての拉致被害者、特定失踪者を返せ!」と言い返せるのか。上記の懸念から判断すると、安倍政権にその能力ナシ。と思っている。残念ながら。そもそも、安倍総理がいきなり村山・河野談話を継承し、訪中・訪韓外交を行なったのは、アメリカから何らかのメッセージ(関係回復)を受け取り、それに従わなければならないと判断したからではないか。だから正確に言えば、中国というよりはアメリカの圧力があったのだろう。イラクの治安に軍の戦力を割き、中間選挙で米共和党が負けた現状から鑑みると、北朝鮮核問題の存在自体の縮小を目論んでいても、何らおかしくは無いのだ。