日本の“対北朝鮮支援”のカラクリ その1

六者協議が終了した。以前から「六者協議は日本の金を出して北朝鮮を宥める為の儀式である」と言ってきたが、寸分違わずそうなりつつある。日本外交史上に稀に見る大敗北であるが、この状況を目の当たりにして、それを理解出来ていない保守系ブログがネットに多くて驚いた。「極右評論」などはその名の通りのガチガチの国粋主義を標榜しているにも関わらず、「拉致問題が進展しない限り、支援も制裁解除もしない」という安倍総理の言葉に何ら疑いを持たず、去年秋の靖国神社例大祭の参拝断念をも支持していた過去を持つ。何ともまあ、寛容な。その常連達も「終戦記念日例大祭に拘る必要はない」と、どこぞの支持者*1を思わせる発言をしている。
 

*1:ヒント:前総理

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日本の“対北朝鮮支援”のカラクリ その2

さて、その六者協議にて合意された文章。その一部を抜粋。
 
◆共同声明の実施のための初期段階の措置
(http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/6kaigo/6kaigo5_3ks.html)

4.朝鮮民主主義人民共和国と日本国は、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとるため、二者間の協議を開始する。

その概要と称されるもの。
◆第5回六者会合第3セッションの概要

(3)日朝
日朝平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための協議を開始する。(「懸案事項」には、拉致も含まれる。)

概要はあくまで概要であって、公式な文章に書かれたものでも何でもなく、括弧で付け加えただけ。これを以って「拉致問題も懸案事項として盛り込まれている」と強調するのには無理がある。“拉致問題は解決済み”とする北朝鮮にとってみれば、日本が勝手にそう解釈しているに過ぎない。
 

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日本の“対北朝鮮支援”のカラクリ その3

北朝鮮は日本の援助をもらいたいと思っている。支援カードは拉致を解決するための大切なツールですからそれを手放すわけにはいかない」と安倍総理は言う。しかし拉致問題解決の手段として「これからは“対話と圧力”ではなく“圧力と対話”で北朝鮮に迫る」と言っていた矛盾を突く声はほとんど聞こえてこない。軽水炉などのインフラ整備やコメ支援を行なった、かつての「アメを与える」外交政策に逆戻りしてしまった事を批判する声もない。この政策転換に対し何故、救う会は抗議の声を挙げないのか。動きが鈍過ぎる。家族会は別にしても「安倍総理への信頼は揺るがない」などという媚びたチラシを緊急集会に来た聴衆に配っている場合ではないのである。
 
だが、特定失踪者問題調査会の荒木代表の問題意識の高さはさすがと思う。
 

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