「小泉首相とその信者の罪」はじめに

小泉信者、と呼ばれる人達がいる。「郵政民営化」「憲法改正」「靖国神社への8月15日参拝」を公約に平成13年に奇跡的な自民党総裁選で勝利を収め、そして内閣総理大臣に就任。これまでの左翼勢力によって壟断されてきた日本政治を立て直してくれるのではないか、という期待が保守派だけでなく、多くの国民からも寄せられていた。しかしご存知の通り、それは無残に裏切られる。中国からのまたは自民党と連立を組んでいる公明党からの圧力に屈し、姑息にも靖国参拝を二日早めた事が最初の裏切りであった。そして今日に至るまで「保守派の星」の皮を被り続けたまま首相を続け国民を騙している。だが、それにも関わらず小泉の欺瞞に目をつぶり、熱烈な支持を続け、小泉を批判するものを“北朝鮮の手先”“民主党の犬”と罵倒する人間がいまだ存在する。北朝鮮による日本人拉致問題におけるお粗末な政治手腕を見れば、いい加減にそのインチキに気付きそうなものだ。しかし小泉信者にとっては逆にそういった非難を「サヨクによる小泉降ろしの陰謀」と片付け、全く受け付けようともしない。小泉登場時(といっても20年以上国会議員を務めているわけだが)のインパクトが強烈だった為が故に、その幻想から目を覚ます事が出来ないようだ。
 
昨今のブログブームにより、様々な分野の人が己の政治論をお手軽に世間に発表するようになった。その中には、プロの文筆家も顔負けの記事を定期的に書き下ろすブログ書きも登場している。自分は毎日のように保守系ブログを覗き、チェックしているサイトがいくつかあるのだが、時折その論調に「あれっ?」と違和感を感じる事が少なくない。特にそれは平成16年5月22日の小泉首相北朝鮮で行った二回目の日朝首脳会談に関する、小泉への評価の高さである。そしてその方法論に怒りを込めて批判した拉致被害者家族会への憎悪である。人間とは感情の生き物であるから、家族会の人達の激しい論調に対して鼻白む思いをした人がいても不思議は無い。しかしその会談の結果に至るまでのプロセスや小泉内閣の政治姿勢を見る限り、拉致被害者をおざなりにして日朝の国交正常化という名誉を得たがっているのは明々白々であるのだが、小泉信者のフィルターを通してみると「家族会は増長して」おり、その危険性を指摘するマスコミは全て「北朝鮮の手先になっている」と断言して疑わない。実は自分の周りでも、自分に近い政治思想の持ち主でも、そうした雰囲気に呑み込まれてしまっている人が少なくない。悲しい事だ。左翼思想の、北朝鮮にシンパシーを感じる者になどハナから構っていない。だが、真の保守を目指す者になら、小泉を支持し続ける事への危機感を喚起出来るかもしれない。そのわずかな期待を込めて本文を記する事を決めた。
 
「保守同士で争って一体どうする。それはサヨクを利するだけだ」という意見もよく頂戴する。だが、保守の皮を被ったイカサマ政治家を一刻も早く引き摺り落とさねば、日本という国はますます崩壊の道を突き進んで行くに違いない。叩くなら今の内しかあるまい。以前、小林よしのりが「戦争論2」を描き、所謂「親米VS反米」論争が起こった。それが最高潮に盛り上がっている最中に、彼を招いて西村眞悟と対談させる講演会にスタッフとして参加した。自分はこの講演会のタイトルに「西村眞悟vs小林よしのり」と銘打ち、二人に本当の意味で論戦して貰いたいと思っていた。が、そんなに対立を煽り立ててどうする?観客は二人の交流を楽しみに来るんだから、という意見に押され結局穏やかで盛り上げりに欠けるものになってしまった。これがどういう結果になったか、それ以降の小林よしのりの迷走を見れば歴然であろう。
 
よし、徹底的に「やってみようやないの!」