日本政府は日朝平壌宣言の破棄を明確にせよ2

昨日のエントリーの続き。自民党の拉致対策本部・経済制裁シミュレーションチームが北朝鮮に圧力を与える為に結成されている。「特定船舶入港禁止法案」を議員立法で成立させた議員も加わり、具体的な検討を行うという。しかし何を今更、という印象しか持てない。それが拉致問題の解決に繋がるのなら反論する理由もないのだが、これが単なるガス抜き・経済制裁発動までの時間稼ぎに利用されるだけなら、もういい加減にしろよ、と憤りを感じる。
 
もう都合良くお忘れになっている人も多いだろうが(苦笑)、小泉支持者達は去年の今頃施行された「油濁法(船舶油濁損害賠償保障法)」を持ち上げてきた。その法案の制定直後から“北朝鮮に対するこっそり経済制裁”“小泉首相のしたたかな外交戦術”と誉めそやす意見がネット上でかなり散見された。こんな感じで↓

◆「船舶油濁損害賠償保障法のまとめ」
(http://yasz.hp.infoseek.co.jp/log2/yudaku.htm)
◆Irregular Expression「一般船舶油濁賠償保障法と人権擁護法案
(http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/200502281052.html)
 
ご存知の通り、この彼らの主張はことごとく外れた。北朝鮮ニュージーランドに偽の保険会社をを作らせ保険証明書を発行、北朝鮮船は変わらず日本の港にやって来て貿易を続けている。ごく少数の人々が当初から懸念を示していた通り、油濁法はザル法と化した。結局、再び船舶事故が発生し流出した油によって海上汚染が起こったとしても、それを日本国国家が保障するというデタラメぶり。しかしこの程度の事は容易に予想出来たはずだ。
 
俺の、以前の「油濁法」に関する日記を見てね。
 
だが、このような結果を見ても「さすが小泉さん!」と絶賛した小泉信者達には反省の色は無い。いや、最初から、経済制裁を決して発動しようとはしない小泉を擁護する目的で政治的プロパガンダ活動を行っていたのだ。経済制裁慎重派(転び小泉派)に人もこの事実を踏まえずに、ただ「経済制裁シミュレーションチームが発足したから、小泉政権はいよいよ圧力を高める為に動き出した」と喜ぶだけなら、それは勉強不足という以前に、偽善としか言い様がない!忘れてもらっては困る。経済制裁の発動は小泉総理の決断でいつでも行えるし、逆に言うと決断がなければいくらシミュレーションチームが計画を練ろうとも、今のままの体制による条約制定ではまるで意味がないのだ*1
 
だからこそ、拉致議連に所属する国会議員は首相の決断に寄らずとも、自動的発動する経済制裁法案の制定を目指していた。しかし、その多くは去年9月の衆院総選挙によって議席を失い、力を殺がれる事となった・・・。「経済制裁という重大な決断は、国家のリーダーたる首相に任せるべきである」という節度を持った議員達の想いをも、無残に裏切っていたのだ。
 
やはり、この日記のトップに掲げている『小泉退陣なくして拉致問題の解決はありえない!』というフレーズを取り下げる気には全くなれない。拉致問題に関心を持つ人々がまず共有すべき認識は、小泉政権が繰り返す「北朝鮮日朝平壌宣言を履行させる」という主張に対して、きっぱりとそれを否定する事である。