北朝鮮と中国、拉致と靖国と総裁選について2

北朝鮮と中国、拉致と靖国と総裁選について
(id:kikori2660:20060522#p2)

普段からブログ等で主張している意見に沿って「終戦記念日靖国神社へ首相が参拝する事こそが、国家の指導者としての義務であり、これまでの戦後民主主義の弊害・特定アジアの謂われ無き外交圧力を打ち破る意志を示す道である」と言わねば矛盾しているのではないか。

安倍氏、7月のサミット後に総裁選出馬表明
(id:kikori2660:20060524#p2)

「要は靖国だぜ、お馬鹿さん」というスローガンを掲げて戦うべし、って事だ。

この日記の続きのお話。その前に、「ぼやきくっくり」さんとこで紹介されていた産経朝刊6/8オピニオン面【正論】において公表された屋山太郎氏の論文をまんま転載。
<先人選別する者に宰相の資格なし/靖国参拝は総裁選の重要な争点>

フィンランド化の入り口≫
靖国神社に参拝するか、しないかが、ポスト小泉の踏み絵のようになってきた。
 
この構図に反発してか、小泉首相の参拝を支持してきた安倍晋三官房長官は「今の段階で行く、行かないを言うこと自体が外交問題に発展していくのなら、今言うべきではない」と答えている。
 
安倍氏は「中国の意向をうかがって首相を決めるような局面にすべきでない」というのが真意のようだが、現実にはそういうばかげた場面が演出されているのである。そうであるからには“バカの壁”を突き破って勝負すべきなのではないか。
 
靖国参拝の是非が政治の焦点になってきたのは、小泉首相が中国の非難にもかかわらず、断固として参拝を続けてきたからだ。中国が首脳会談を拒否したため、日本国内に(1)アジア外交が停滞する(2)政冷だけでなく経熱まで冷めてしまう(3)ブッシュ米政権も困っている(4)ひいては日本が国際舞台で孤立する−などの意見がわき上がってきた。
 
中国首脳は、「小泉首相には見切りをつけ、次の首相に期待する」旨をあからさまに言明している。そこで次の首相には“参拝しない”派を選ぶ必要があるとの意見が政・財・官・言論界に台頭したのだが、日本はいつから中国の冊封(さくほう)国家になったのか。
 
ソ連が強大な時代、隣国フィンランドソ連の意向に沿った首相しか選べなかった。これを国際政治用語で「フィンランダイゼーション」(フィンランド化)と呼んだが、日本の状況はまさに中国による「フィンランド化」の入り口にある。
 
分祀・新施設論の不可解≫
 
先に挙げた4つの意見について検証する。
 
まず、(1)のアジア外交の停滞についてだが、中・韓との外交がアジア外交のすべてではない。インドなど他の国との外交は活発化しており、むしろ日本の首相が靖国参拝をやめれば、アジア諸国は心底、日本を軽蔑(けいべつ)するのではないか。以後、頼りにされなくなるのは必定だ。
 
(2)の「経熱」が冷めて困るのは明らかに中国の側で、中国参入企業を人質に経済同友会に参拝自粛の「提言」を書かせたのが、その証拠だ。
 
(3)については森喜朗前首相も訪米中に語っているが、ブッシュ政権内で公式に靖国問題で中国側の肩をもった発言は一切ない。
 
(4)の国際的孤立についてだが、中韓以外に靖国問題で発言した国があるのか。他国の祭祀(さいし)の問題に口を挟むというのは極めて非常識なことであって、国際舞台では非常識な方に分がない。このところ中韓両国が外相レベルの会談に応じているのは自らの非常識に国際的支持がないと悟った結果だろう。
 
中国の言いなりとか媚中派という非難を避けるために、「A級戦犯が合祀(ごうし)されている」ことを参拝しない理由に挙げ、谷垣禎一氏や古賀誠氏、与謝野馨氏は「分祀(ぶんし)されれば参拝する」と述べている。福田康夫氏、山崎拓氏、加藤紘一氏は靖国とは別の「国立追悼施設をつくる」ことを提案している。
 
分祀というのは事実上できないのだから、この人たちはすべて「A級戦犯が合祀されている靖国神社には参拝しない」ということである。また同時にこの人たちは靖国参拝をやめても日中間に横たわるガス田、尖閣諸島安保理常任理事国問題などが解決するとは思っていない。実に不可解な人たちというほかない。
 
≪死者にむち打つ文化なし≫
 
ここでA級戦犯について述べておきたい。中国は日中平和友好条約で戦犯問題について何の留保条件もつけていないばかりか「内政の相互不干渉」の原則を約束している。したがってA級戦犯について何かを言う権利はまったくない。日韓基本条約もそうだが、そもそも条約は過去のあらゆるトラブルを解消して再出発しようと言う取り決めだ。
 
国内には「日本人を何百万人も死に追いやった東条英機首相以下のA級戦犯は許せない」という言い分もある。だから靖国には行きたくないと言う。東京裁判は連合国が一方的にやったもので、日本の国内法ではA級戦犯は「いかなる意味でも犯罪ではない」(大橋法務総裁=法相)との歴史事実に反発して「もう一度国内で裁判をやり直せ」という人もいる。
  
しかし彼らはすでに死刑になったり刑期を終えた人たちだ。日本には死者をむち打つ文化はない。死ねば等しく神である。先人の成功や失敗があり、何百万人の犠牲に学んだからこそ、われわれは賢明になれた。先人たちを選別したり、哀悼の意を表せない人に宰相の資格はない。

これぞまさに正論。まさに王道の言論。風間大介風に言うと「そうそうそれそれ」な感じ。くっくりさんは「今は沈黙しておいた方が得策」とおっしゃいますが、現在の圧力にさえ耐え切る事が出来なくて、首相に就任後のそれに耐えられるのでしょうかね?
 
「総理にさえなれば」。
 
多くの、終戦記念日に首相の靖国参拝を望む日本人は、このような言葉に何度騙されてきたのでしょうか。小泉首相が8月15日の参拝を避ける度に「政局の安定の為に、元旦の参拝でも我慢しよう」「郵政民営化衆院選に勝つ事が第一目的、英霊もきっと分かってくれるさ」式の不可思議な擁護が5年間も続けられてきました。人知を超えた不可思議と言えば、2chのこのスレの書き込みにも現れていると思います。
◆【政治】 "対中円借款" 小泉首相「08年まで、中国が望む限り支援した方がいい」★2
(http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1149831557/)

46 名前:名無しさん@6周年 投稿日:2006/06/09(金) 15:03:26 cWeGpDo6O
中共内部の分裂工作になるんじゃないか?
供与してから、「中国は発展途上国ですからね」とか言えば軍部向けの釣りにならないかな?

甘いか…

92 名前:名無しさん@6周年 投稿日:2006/06/09(金) 15:45:35 xazK8jYh0
これまで小泉の爆釣りを見てきた漏れとしては、何か裏があるものと
考えてるんだがな。
麻生まで一緒にYESと言う所が実に怪しい。
チャイナスクールを吊るし上げるための撒餌だと思うが。

174 名前:名無しさん@6周年 投稿日:2006/06/09(金) 18:57:57 7WEQZNKe0
↓でも、ミンスなら円借款どころか日本の主権を移譲しちゃうんだから小泉さんGJ!

「小泉総理は運が強すぎる 〜小泉超ラッキー伝説〜」に代表されるように、こうした奇妙奇天烈な論理が依然としてまかり通っています。「全ては小泉の釣り」「売国議員や外務官僚が小泉さんの足を引っ張っている」という互いに矛盾する論理を振りかざしても、何ら疑問を抱かない。ま、この小泉信者がどれだけ安倍晋三を応援するかは不明ですが、結局中国やマスコミの圧力で靖国参拝を取り止めても「英霊は安倍ちゃんの苦しみを分かってくれる!福田や民主党が政権を取ったらとんでもない事になっていた筈だ」を、また5年間も繰り返すのでしょう。時折、中川(酒)大臣みたいのが「中国ケシカラン」みたいな事を言うと「グッジョブ!GJ!」と絶賛、「それにつけても売国議員と売国官僚には困ったもんだ」と締めくくる。もうそればっか。
 
それはそうと、その小泉首相の決定に対する中国の反応。
◆日本の対中円借款凍結解除に「『重視』では不足」

さらに、「我々はこうした状況を望んでいない。日本側が日中関係を重視して凍結解除を決定したと表明していることは好意的に受け入れるが、我々としては『重視』ではまだ足りないと考えている」と述べ、「日本に対して関係改善と発展のために誠意ある態度を示し、具体的な行動をとる必要がある」として、小泉純一郎首相などの靖国神社参拝中止を暗に求めた。

とまあ、当然と言えば当然過ぎる反応ですので、「極右評論」さんの語るように
(http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/50863071.html)

この流れの中で官邸サイドにも余裕が見られ、今後の総裁選挙を睨んだ戦略の一環として、タイミングを見計らい凍結解除を決定したと思う。

というような余裕が実際、日本政府側にあるとは思えません。むしろ、

[中共]靖国に行くな。
[小泉]じゃもうお金は貸さないよ。
[中共]うるせえ、黙って金出せ。
[小泉]そこまで言うんなら出すけど、行ってもいいよね?
[中共]知るか馬鹿。金は出せ、靖国にも行くなよ。

有り体に言えば、この程度の構図でしょう。
 
「小泉さんは改革を安倍さんに託したがっている」。
 
このフィクションを信じたい人にとっては、小泉の凍結解除も安倍候補の応援のように思えるのかもしれませんね。しかし私には「小泉は、自分以降の首相が誰になろうと興味がない」と見ているので、この決定もあくまで“最後の公約をスムーズに行う為”であって、もし安倍の事を思いやっているのならこうした経済援助カードを今の時点で易々と手放したりしないでしょう。
 
「中国からの圧力に押されて終戦記念日に首相が参拝出来ない」「参拝の是非を口にすると選挙や自民党総裁選で勝てない、という意見の台頭」という現在の政治状況からして既に、屋山氏が指摘する“フィンランド化”が始まっていると言えます。それを打破する為には、国家の指導者として戦争で亡くなった英霊を悼む、という当たり前の義務を背負うという覚悟をしっかりと主張せねばならない*1。そして、きちんと英霊を奉る事の重要さを国民に語り掛ければ必ず半数以上の支持が得られるはずです。実際にそれをぶち上げて絶大な支持を得た人物こそ、小泉首相本人ではなかったのですか?総裁選の際に、数において当時の橋本派と比べて不利であった状況から、奇跡的な逆転を成し遂げて当選出来たその原動力とは?熱心に小泉首相を応援する人々に限って「終戦記念日靖国参拝に拘らなくても良い」などと言い出す現象には首を捻らざるを得ません。「“小泉自民党に投票した国民は馬鹿だ”などという民主党こそ愚かだ」という人こそ、実は腹の底で国民を虚仮にしているのかもしれません。

(続く)

*1:そもそもこの靖国問題は、小泉首相が圧力に負けずに毎年欠かさず公約通りに参拝していれば、逆に解消していたと思うのですがね