めぐみさん拉致映画 日本で公開へ

(http://www.sponichi.co.jp/society/news/2006/08/19/01.html)

北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさん=失跡当時(13)=を追った米ドキュメンタリー映画「めぐみ――引き裂かれた家族の30年」が、11月25日に日本で公開されることが決まった。両親の横田滋さん(73)、早紀江さん(70)夫妻も感慨深げで、本紙の取材に「拉致問題解決への機運が高まってほしい」と期待を込めた。
 
めぐみさんが拉致されてから来年で30年。拉致被害者家族連絡会(家族会)の活動は今年で10年目を迎えた。滋さんは「これまでも講演や本などで拉致問題を知ってもらおうとしてきましたが、映画は直接目に入ってきて分かりやすい。解決しなければならない問題だという機運が高まることを期待します」と述べ、「めぐみ」が日本で公開される意義を強調した。
 
監督のクリス・シェルダン、パティ・キム夫妻は、米国で報道された02年の小泉純一郎首相訪朝で拉致問題の存在を知り、2年近くにわたり横田夫妻に密着。インタビューに加え、めぐみさん失跡1年半後に当時のフジテレビ「小川宏ショー」に生出演した時の貴重な映像などを編集し、まな娘を取り戻すための闘いの日々を描いた。
 
撮影では、めぐみさんが拉致されたとされる新潟県の海岸なども訪れた。早紀江さんは「私たちにとっては、振り返りたくない場所。でも、娘を捜さねば、助けなければという思いだけでした」と声を詰まらせた。
 
日本の映画各社は当初、興行面などから配給には慎重だった。今年1月の米スラムダンス映画祭で初披露されると、観客賞を受賞して注目度がアップ。一転して争奪戦となり、ギャガ・コミュニケーションズが配給権を獲得した。
 
6月には都内で日本初の上映会が行われ、横田夫妻安倍晋三官房長官らが観賞。北朝鮮への強硬姿勢を主張している安倍氏は次期首相の最有力候補となっており、滋さんも「心強いです。政府はさらに真剣に考え、一生懸命やってくれるでしょう」と期待を寄せる。
 
映画は、早紀江さんの「めぐみに広い草原で寝転がって、“自由だあ”と叫ばせてあげたい」という言葉で締めくくられる。「夢なんです。いつか、本当にそういう日が来ると信じています」と希望を抱いている。