- 作者: 史村翔,所十三
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/06
- メディア: コミック
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「第2部 第1章 死の賭(ゲーム)」。
“アジアの火薬庫”と呼ばれる独裁国家が経営する、日本国内の非合法カジノ。そのカジノにハマった若者が次々と拉致されるという事件が起こる。それを指揮していた“ユン”と呼ばれる工作員を追い、連れ去られた仲間を取り戻す為、その独裁国家に潜入する主人公(シン)達。その過程において、そのユンの意外な正体が判明する。
1997年2月に西村真悟が国会にて横田めぐみさんの拉致について初めて質問し、その年の3月に拉致被害者家族会が発足。1999年に韓国映画の「シュリ」が公開。史村翔と言えば、“武論尊”のペンネームでも有名だが*1、まだ拉致事件の存在すらロクに信じられていなかった当時に、わずかな情報を元にこんなシナリオを書いた。工作員の立場を利用して、自国の独裁元首の暗殺を狙うネタも「シュリ」に先んじている。史村翔、恐るべし。ちなみに、作中でこの国の“教育”に逆らって死んだ妻の名前は「由布子(ゆうこ)」だとか。キャラクタの髪型*2といい、このモデルが誰であるかすぐに分かるだろう。と言っても、この連載時には、俺も北朝鮮の拉致についてはほとんど知識は無かったけれども。
この「死の賭(ゲーム)」篇は、シンは倒したユンに対してトドメを刺さずに「生きていればチャンスはある・・・」と言い残し日本へ去り、その過失によって最下級の兵士に落とされたユンが「・・・また一から出直しだ・・・!!」をいうセリフと共に“再教育”を受けるラストで終わる。そして最終回では、平穏な暮らしを始めた主人公達は独裁国家で内戦が起こり、反政府軍を指揮するのがそのユンである事を知り、その手助けを決断する、という内容。
正直、あまりヒットしたとは言えないこの作品。だが、少年誌連載だったとは思えない超ハードなストーリー。アマゾンで中古を全巻揃えるのはさほど難しくないんで、機会があったら読んでみて下さい。
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