アッと言う間の再入国許可証交付

いや、ビックリした。昨日の日記(id:kikori2660:20060305#p2)で、このニュースを紹介したばかり。
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2006.03.04)
(http://www.sukuukai.jp/houkoku/index.html)
で、それに対して感想をこう漏らした。

まあ、つまりは名古屋入国管理局も官邸の支持で嫌がらせをし、結局は官邸の指示でそれを取り止めるのではないか。もちろん北朝鮮に対する圧力になるのなら反対する理由は特にないのだが、それが「PSC規制」「油濁法」のように単なる嫌がらせに終始し、経済制裁の発動を遅らせるようなら「誤魔化しはもう沢山だ」と言わざるを得ない。

拉致被害者家族の増元照明さんも次のような発言をしている。
増元照明からのメッセージ
(http://www.interq.or.jp/power/masumoto/ms.html)

2006.3.6
「名古屋入国管理局の英断を望みたい」
(略)
金昭子は、「自分の国に帰るのは人間の初歩的な権利」といっているようだが、私たちから見れば「初歩的な権利を奪った国は、貴方が国会議員をしている祖国といわれるところですよ!」といいたい。これが一般の在日の方なら、家族の命を救うためにも訪朝し、再入国することもいたし方あるまい。しかし、彼女は北朝鮮最高人民会議代議員の一人として、今の祖国のやり方に責任を負わなければならない人物ではないか。そして、祖国の再建のために尽くさなければならない立場の人間であろう。その人物が「人間の初歩的な権利」と謳い、拉致被害者の権利や人権には何等言及してこなかったことを考えると許されることとは思えない。私たちが北朝鮮最高人民会議代議員の再入国拒否を言っているのは、こうした責任ある立場の人間に目覚め、責任を取って欲しいからである。「拉致問題が解決しない限り、出国は自由だが再入国は許可できない」という責任のとり方があるのではないか?今、日本の国会議員の責任のとり方が論じられているが、国会議員という地位の方はそれだけの責任を有するし、明らかな責任の所在を説明すべきと思う。私は、金昭子女史を含む6名いるといわれる北朝鮮最高人民会議代議員に国会で証言していただく必要もあると考える。日本国内に居住する人物であれば、平壌などにわざわざ出向かなくとも毎日協議できるし、本国との連絡も出来るのであるから、日本政府のいや日本人の要請にこたえるべきではなかろうか?

 
ところが今日のニュース。
◆再入国許可:在日朝鮮人女性の申請保留に抗議
(http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060307k0000m040029000c.html)

朝鮮総連によると、女性は4月に親族を訪問するため、2月27日に名古屋入管に再入国許可を申請。通常は申請当日に交付されるが、6日にようやく交付されたという。女性は北朝鮮の国会に相当する最高人民会議の代議員などを務めている。

早っ。早過ぎ!この早漏めっ。せっかく、はてなキーワードに「金昭子」を登録までして注目していたニュースだったのに。いくらなんでもヘタれるのが早いよ。・・・・・・いや、マスコミで報道が始まるや否や速攻で許可を出したという事は北に対する圧力を掛けたつもりなのだろうが、主目的は国内向けのポーズだったのではないだろうか。本当にただの嫌がらせで終わりました。・・・いい加減にしろよ、小泉。
 
◆「対北」摘発を厳格化、首相官邸に分科会
(http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe4200/news/20060305it04.htm)

政府は、北朝鮮を対象とした不正輸出の取り締まり、出入国管理、密輸摘発などを強化するため、近く、首相官邸拉致問題専門幹事会に「厳格な法執行分科会」を設置する。経済制裁の是非を判断する前に、現在の取り組みを強めることで、北朝鮮への圧力を増し、拉致問題などでの対応の変化を促すのが狙いだ。
 
新設される法執行分科会は、警察庁と財務、法務、経済産業、金融、海上保安の6省庁の審議官・部長らがメンバーとなる。取り締まり担当部門が情報を共有し、現行法を厳格に適用することで、北朝鮮とのヒト・モノ・カネの不正な出入りをこれまで以上に厳しく摘発する。
 
具体的には、財務、法務両省は入国管理と税関に人員を重点的に配置し、北朝鮮関係者や携行品などの監視を強める。朝鮮語に精通し、北朝鮮関連の犯罪捜査を経験した警察官らを入管や税関当局に出向させたり、併任させたりする方向だ。経産省は、外国為替及び外国貿易法に基づき、軍事転用可能な機器を扱う国内企業約100社への抜き打ち検査を年内にも行う方針だ。金融庁は、北朝鮮関係のマネーロンダリング資金洗浄)やテロ資金の疑いがある取引を捜査当局に通告することにしている。また、海上保安庁は保安官の増員を検討しており、北朝鮮を出入りする船舶の入港検査を厳格に実施するほか、覚せい剤や密輸摘発のための海上トロールを増やしたい意向だ。

もう、お分かりですね。一見すると、政府が本格的に圧力を掛け始めたかのような印象を受ける。しかし全ては誤魔化し。目的はただ一つ、経済制裁を発動したくないが為に、国内向けに派手なパフォーマンスを見せて国民の不満を逸らす事にあるわけだ。
 
◆日朝関係:経済制裁以外の現行法で圧力強化 政府検討
(http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20060214k0000m010056000c.html)

政府は、8日まで北京で開かれた日朝包括並行協議が具体的進展なく終わったことを受け、在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)の関連施設に対する課税強化など、経済制裁法以外の現行の法律を厳しく適用して北朝鮮への圧力を強化する構えだ。拉致被害者家族などから経済制裁を求める声も出ているが、政府内ではその効果を疑問視する見方が大勢となっている。
 
経済制裁について、小泉純一郎首相は13日、記者団に「(北朝鮮は)ここ数年、日本との交流が減っている分、中国と韓国で増えている。国際的な情勢を見ていかなければいけない」と語り、改めて慎重姿勢を示した。

経済制裁の効果に疑問を持っている”?そんな馬鹿な。効果が無い、というのなら粛々と行ったところで文句はあるまい。効果があると思っているからこそ、北朝鮮を刺激する経済制裁行使を恐れているのだろう。逆に言うと「対北摘発の厳格化」は大した圧力になっていないという事になる。ところで小泉信者は、小泉を擁護する際に「経済制裁は効果が無いからやるべきではない」「経済制裁をやると効果が有り過ぎて戦争になるから止めておくべきだ」という全く相反する論理展開するがどうにかならんもんかね。
 
◆対北制裁発動、首相は慎重姿勢…参院予算委
(http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060306i117.htm)

小泉首相は6日の参院予算委員会で、北朝鮮に対する経済制裁について、「制裁すれば、懲らしめれば、日本の思う通りにいくかというと、そういう問題でもない」と述べ、制裁発動に慎重な考え方を改めて示した。
 
その上で「北朝鮮とは対話なしに様々な問題は解決できない。難しい相手だが、交渉しなければならないのが北朝鮮であり、金正日総書記だ」と語り、拉致問題などの懸案解決に向け、引き続き対話を重視する姿勢を強調した。自民党の片山参院幹事長の質問に答えた。

もうこれでハッキリとした(いや、とっくの前に明らかになってるんだけど)と思う。
 
『小泉退陣なくして拉致問題の解決はありえない!』
 
という、この日記のトップに掲げるこのスローガンは、わずかばかりの変更の必要も無い。九月の小泉首相の退陣を待たずに、拉致問題に関心を持つ支援者は積極的に倒閣運動を起こしていくべきではないか。この男の北朝鮮・韓国・中国などに対する一見強気な姿勢に踊らされてはならない。たかが一度の大勝利したからといって、日本の未来を全て託したわけではないのだ。
 
「私たちは、拉致の解決を置き去りにした国交正常化を絶対に認めません!」などという小泉支持者に媚びるようなスローガンだけではなく「めぐみさんたちは生きている−経済制裁の圧力ですべての拉致被害者を救出しよう!」と揺るがない決意を表明する事。これが支援者の義務であると考えている。