インチキ臭い「制裁継続」

アメリカは日本ほどはヤワじゃ無さそうで。そりゃそうか。
 
◆6カ国足踏みなら制裁継続 拉致問題解決は譲れない
(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/37633/)

日本人拉致問題を絶対に置き去りにはしない。拉致問題の解決を最重要課題に掲げている安倍政権は2日、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議が8日から北京で再開されるのを受けて、北朝鮮による日本人拉致問題の解決に進展がない限り、日本独自の対北朝鮮制裁の緩和には応じない方針を固めた。米政府が金融制裁を緩和した場合でも、拉致問題の埋没を防ぐには日本の強い姿勢を示す必要があると判断したためだ。政府はこうした方針を、近く来日する米首席代表のクリストファー・ヒル国務次官補に伝える。次回6カ国協議では、米政府が凍結しているマカオのバンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮口座を一部解除する代わりに、北朝鮮が核凍結・廃棄に向けた議論に応じるかが焦点になっている。日本政府は弾道ミサイル発射や核実験に加え、北朝鮮拉致問題で誠意ある対応をとっていないことを理由に、貨客船「万景峰(マンギョンボン)92」の入港禁止などの独自制裁を発動している。今回、米国が金融制裁を緩和しても「ドル紙幣偽造に対する米国独自の問題」(政府高官)として、日本の対応と切り離すべきだと判断。日朝で作業部会を設置し拉致問題の協議が始まるなど、具体的な進展がない限り制裁緩和に応じない方針だ。日米の足並みに乱れが生じる懸念もあるが、「日本が拉致問題を強く主張し続けなければ、核問題の影で置き去りにされる」(政府高官)ことをより重視した。

「政府筋」とは官房副長官の事らしいが、「政府高官」となれば、やはり塩崎官房長官の事なのだろうな。この日の日記(id:kikori2660:20070131#1170261095)と合わせて考えれば、つまりは「表向きは現在発動している経済制裁の緩和はしないけど、食糧支援や核施設の放棄の代償に必要なインフラ供与の話し合いは進めていいんじゃない?」ってわけか。
 
馬鹿じゃあるまいか。北朝鮮の国民に行き渡るはずのない食糧支援など行なったら、経済制裁の意味がまるで無くなってしまうのに。しかも作業部会が分けられているのだから、拉致問題に進展があろうが無かろうが(もちろん無い)、なし崩し的に経済支援だけが前に進んでしまう。いや、そもそも作業部会が分けられたのはそれこそが目的だったわけだが。以前から繰り返し述べているように、六者協議は「日本の金を北朝鮮に与えて宥める為に存在」しているのだから。
 
拉致問題解決は譲れない」と一見頼もしいというか、勇ましい発言のように聞こえるけれど、実質は「圧力」を緩め、国交正常化交渉という「対話」に歩を進めているのではないだろうか?
 
◆佐藤 健の溶解する日本「米朝協議と6カ国協議に関する政府の公式な立場 」
(http://blog.satohs.jp/200702/article_12.html)

ただ、不満なのは、北鮮傭船の出入りはいまだに自由になっている、パチンコが野放しになっている、総連施設への締め付けがあまり進んでいないってことで、「通貨偽造・核と拉致は別質の問題」と言いきって「アメリカと袂を分かっても」やると言うからには、ただ「継続」と言うのではなく、何をどう強化するくらいの踏み込んだところを明らかにしてもらいたいと思うし、それを言えないところ、こうした場合に実名ではなく「政府高官」と書かせるところにこの政権のインチキ臭さがあるような気がする。

本来、経済制裁の効果を高めるつもりなら、日本国内の資産を凍結したりなど、もっと圧力を強める手段はいくらでもあるはずだ。朝鮮総連の解体に向けて幹部を破防法などを積極的に駆使して引っ張る事も出来るはずだ。しかし日本政府の強い意志は何時まで経っても伺えず、「経済制裁もあまり効果がないんじゃない?それだったらもう止めて“対話”に立ち戻り北朝鮮と平和裏に交渉してはどうか」という雰囲気になってしまっている。今年一月に、山崎拓議員が「政府の意向に反して訪朝を行い、勝手な外交交渉を進めた」事が非難されている。しかしそれに対し、官邸が何らかの処分を行なった様子は無い。それどころかヤマタクの行為そのものが、いつの間にか無かった事にされてしまっているのは一体何故なのか。産経新聞などは「報道すればかえって、ヤマタクの利益になってしまう」からと記者に対して緘口令を敷いているそうな。ヤマタクはもちろん、官邸の沈黙やその御用マスコミの言い分はあまりに嘘臭く、胡散臭い。
 
しかし今更になって気付いたが、安倍政権における塩崎官房長官と、小泉政権における福田官房長官の位置付けは全く一緒だな。時の政権がおかしな方向に外交を動かしたとしても、冷血的で売国的な官房長官が首相の真意を捻じ曲げている、という逃げ道が出来ているのだ。つまりは、呈の良いスケープゴート。その内に、家族会や救出運動支援者の憎悪は首相ではなく、官房長官に向かうだろう。選挙が近付けば「左翼的な民主党政権が出来れば拉致問題の解決はますます遠のいてしまう、だからこそ安倍さんへの批判を控えて自民党を応援しよう!」というキャンペーンも引き継がれる。安倍政権が参院選で負けそうになれば、総理自らが北朝鮮に訪朝するかもしれない、という懸念は確かにあるだろう。
 
だからこそ、支援者は「批判を控えよう」ではなく「拉致被害者を見捨てるような外交政策は止めて下さい。それでは国民の支持を得られなくなりますよ」と提言・抗議をするのが務めではないのか。「じゃあ安倍さんを辞めさせて、その後に誰を据えるのか」という0か1の、小泉信者みたいな物言い馬鹿げた物言いなど無視すれば良い。そんなものはどこぞの政治評論家に任せるべき。何やら勘違いして、絡もうとしている阿呆がいるようだが、やるべき政策をきちっとやってくれたら安倍だろうが麻生だろうがどちらでも良い。更に言うと、小泉がまた総理をやったって全く構わないのだ。*1
 
そういう事だから。ところで、諸君。例の件に関する言い訳はどうなったんだい?そろそろ答えておくれよ(笑)。
 
つ「油濁法」
 
施行されてから、もう2年近くも経ってるんだからな。

*1:まあ有り得ない話だが