存在しない彼女に別れを告げられる。
「私、結婚するの」
「えっ……そう。…………で、相手は誰？」
「ほら、テレビで“ウィンダム”のCMに出ている俳優さんよ」
「あの人か！？」
ウィンダムとは、水虫・たむしの治療薬の商品名である。そのCMでは、一人の男が目付きの悪い、それでいて迫力のある眼光を視聴者に向け「ウィンダム！」と叫んでいる。以前から気になっていたCMではあるが、何たる偶然か。あの男がボクから彼女を奪っていくだなんて。
でも、ボクは動揺を見せまいと「ウィンダム、と聞くと俺の世代ではウルトラセブンのカプセル怪獣を思い出すなぁ」などと苦笑いをして誤魔化した。
そこで目を覚ました。そして二度寝をする。
