人権擁護法案と油濁法 〜この二つの法案に賛成する人々に共通した病理 その1

で、今、イギリスではテロが起こってたり郵政民営化法案で国会が揺れていたりするが、人権擁護法案について述べてみる。
 
提出の話題が出るやいなや、この法案に反対するネット保守系、特に西村幸祐氏や西尾幹二氏を筆頭に運動が一気に盛り上がりました。いまだ予断を許さぬ状況ではありますが、自民党内の多くの反対で審議入りを何とか防いでいる状況。しかしこの所、これらの反対意見に対して「北朝鮮や在日への恐怖を必要以上に煽っている」「陰謀論で印象操作を行っている」と批判する人達が登場してきています。その代表格はおそらく「若隠居の徒然日記」辺り。その賛同者達が、前述の西村幸祐氏やブログ「アジアの真実」などのコメント欄に激しく噛み付いている。このテの人達の主張としてこんなFAQも作られているようだ。これにコロっとやられちゃう人が意外に多いようで、驚くね。たしかに、SAPIOなどに掲載された櫻井よしこさんの、反対を主張する論文には粗さが目立つ。が、警察官職務執行法国家公務員法と同列に並べて「この二つの法律にだって国籍条項は無い!人権擁護法案と同じく、定義も曖昧という事になるではないか!」と叫ぶにあたっては、お花畑というか理論馬鹿と言うべきか。条文の文言だけを眺めて、その実効性の有無に思いが至らぬようでは、ただの“法匪”です。
 
ところでこんな素晴らしい事をおっしゃっている方がいます。
◆「バーチャルネット思想アイドルやえ十四歳」櫻井よしこもこの程度でした
(http://www.amaochi.com/yae_log070.html#050610)

全ての法は、最終的には運用にかかってきます。どんな善法でも、どんな悪法でも、使う人によってはどうとでもなります。そしてそれは、人間の主観によって決まってくるモノなのです。 

自分も全く同じ意見です。ところがこの方は後にこう述べます。

というコトは、すでにこの日本は恐怖の社会になってしまっているのです。今でも「気に入らない言論や活動を取り締まる」活動が盛んですし、言論家や表現活動家は多いに萎縮しきっています。なんてこわい世の中でしょうか。

どうやら皮肉のつもりで逆説的に「人権擁護法案がそんなに恐ろしい規定なら、警察によるトンデもない取り締まりがとっくに起こっているはずだよ!」とでも言っているつもりなんでしょうけど。問題は法律の条文の文言の内容ではなく正に、その運用だというのに。一体日本のどこに、明治以来日本の治安を請け負ってきた警察と、破防法を適用すべしとまで言われる朝鮮総連の関与が予想される人権擁護委員会の運用を同列に並べる阿呆が居るというんでしょう。え、何?それは二重基準ダブルスタンダード)だって?馬鹿も休み休み言え。ダブスタのどこが悪い(笑)。そんな偽善まみれの“公平な”判断基準なんてものは、痰壷にでも吐き出してしまえば良い。皆、そんなに平等がお好きなんですかね?
 
そこでこんなエントリーを紹介。
◆「西尾幹二のインターネット日録」二宮清純さんのこと
(http://nishio.main.jp/blog/archives/2004/09/post_29.html)

日本の審判は、ロシアチームに10点をつけた。普通ライヴァル国に10点はつけない。9.9でいい。オリンピックのほかの競技でもそうだが、ライヴァル国の審判というものは不公平を前提にしている。両方が不公平を犯す。それで公平になる。日本の審判は公正のつもりかもしれないが、バカみたいにみえた。日本チームのコーチの一人が背後から味方に弾丸を撃たれた思いだと言って怒っていた。unfairだからfairになるということが日本の審判団には判っていない。

スポーツライター二宮清純氏が語るとおり、日本人特有の妙な公正気取りのスタンスは、いわゆる「絶対反対派に対する批判派」の姿と重なる。法律の条文を捏ね繰り回して「この人権擁護法案は、言われているほど危険ではない」「反対派の意見は反対のための反対であり、論理性に欠ける」などと現実離れした発言を重ねる。現実離れしているという事は“常識”が無いという事。反対派が反論を受けて面食らっているのは論理で負けているからではなく、慣習法的な法の運用という“常識”を、単なる言葉遊びによって忘れてしまっているからです。理屈馬鹿に踊らされてはいけない。
 
あ、そうそう前述の「やえ14歳さん」は櫻井よしこさんに対して偉そうに「プチ保守」と罵っておられるようですが、やえさんはやえさんなりの“保守の定義”を語れるようになったんでしょうかね。いまだに「保守とは、反・中韓の事である」なんて言い出しはしないと思います。これだけ有名になったんですから、さすがにこれ以上西村スレを荒らしに来る暇などはないんでしょう。たぶん。
 
というわけで、続きはまた後日。