拉致問題関連ニュース

北朝鮮 テポドン発射準備の兆候 金融制裁緩和狙い再び恫喝外交
(http://www.sankei.co.jp/news/060519/evening/20iti001.htm)

北朝鮮が長距離弾道ミサイルテポドン」を発射する準備の兆候があることが十九日、分かった。約一週間前から北朝鮮北東部の咸鏡北道花台郡のミサイル実験場周辺で地上交信が急増していることも判明したが、燃料注入などの発射直前の兆候は確認されていない。北朝鮮は米国の金融制裁に反発し、核開発問題を討議する六カ国協議の再開を拒否しており、日本政府内には米国を牽制(けんせい)する狙いがあるとの見方も出ている。発射準備の兆候があるのは、射程三千五百−六千キロとされ、米国のアラスカも射程内に入る新型の「テポドン2号」とみられる。北東部の花台郡のミサイル実験場周辺では、頻繁な交信に加え、トレーラーなど車両の動きも活発化している。
 
麻生太郎外相は十九日午前の衆院外務委員会で「(発射準備を)かなり前から知っていた」と答弁し、日本政府が情報を把握していたことを明らかにした。実際に発射する危険性については「液体燃料の注入が開始されていない段階で、何とも言えない」と述べるにとどめた。米国も衛星などでミサイル実験場の監視活動を強化。ミサイル発射を探知して軌跡を追う米空軍の電子偵察機「RC135S」(通称コブラボール)も周辺で監視飛行をしているとみられる。ただ、米海軍のイージス艦は展開させておらず、日本政府筋は「危険水域には入っていない」との認識を示している。
 
安倍晋三官房長官も同日午前の記者会見で「現時点でミサイル発射が差し迫っているという認識は持っていない」と述べた。
 
小泉純一郎首相は同日昼、首相官邸で記者団に対し、発射準備に関して「言わないことにしている」と繰り返した。
 
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今回の北朝鮮テポドン発射の兆候は、米国による対北朝鮮の金融制裁が予想以上に効き、追いつめられた窮余の策との見方が強い。ブッシュ政権北朝鮮に対し昨年九月、北朝鮮が偽米ドルのマネーロンダリング資金洗浄)にかかわったとして、マカオの「バンコ・デルタ・アジア」と米系銀行の取引を停止し、北朝鮮系の口座を凍結。金融制裁となり、北朝鮮の国際決済がまひ状態に陥っているといわれる。
  
過去にも、北朝鮮は一九九九年にテポドン2号の発射準備を行ったことがある。このときは、米クリントン政権との間で発射を凍結する代わりに米国が経済制裁を緩和するという取引が成立した。これに味をしめた北朝鮮が再び「恫喝(どうかつ)外交」の手段に訴え、金融制裁を続けるブッシュ政権に妥協を求めているとみられる。北朝鮮金正日総書記は、二〇〇一年に「〇三年までのミサイル発射凍結」を表明し、〇二年九月に小泉純一郎首相が初めて訪朝した際の日朝平壌宣言に「発射凍結の延長」を明記した。それ以降、ミサイル発射は行っていないものの、エンジン燃焼実験を行うなど、ミサイル開発自体は続けてきた。北朝鮮は日本に対しては、一九九三年五月の弾道ミサイル「ノドン」を能登半島沖の日本海に向けて発射実験を行ったのに続き、九八年八月、二段式の弾道ミサイルテポドン1号」一発を発射。弾道部分は日本を越え、三陸東方沖の太平洋上に着弾した。このように過去二回、弾道ミサイルの発射があったことから、今回の北朝鮮の動きは日本にも人ごとではない。

 
◆外相「北朝鮮経済制裁、必要ない」
(http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060520AT3S2000520052006.html)

麻生太郎外相は20日午前の民放テレビ番組で、北朝鮮への経済制裁に関して「(日朝間の)経済関係はすでに5年で5分の1以下になったのでないか」と述べ、発動の効果は薄くあえて踏み切る必要はないとの認識を示した。中国が小泉純一郎首相の靖国神社参拝を批判していることに関連して「日本の保守(派)を割るのにある程度成功したと(中国は)思っているだろう」との見方を明らかにした。

アメリカの経済制裁は間違いなく効いている。「中国や韓国が経済援助をするから、日本がしても効き目は無い」という主張はとっくの前に破綻している。効き目があるからこそ、北朝鮮は飛ばせもしない花火遊びでオトナ達の気を引こうとするのだ。しかし麻生外相の「経済制裁を発動しても効果が薄い」というのが本当なら、今度は北朝鮮が暴発する理由など何も無いではないか。早速明日にでも行えば良い。こうした「経済制裁をすると北朝鮮が暴発する」「経済制裁は効果が無い」という相反する論理を、小泉政権の支持者達は平気でのたもっている。オイ、どっちかにしろよ。サヨ勢力お決まりの「戦争はんたぁ〜い、差別はんたぁ〜い」という方がよっぽど筋が通っているね。「なんでも小泉に都合の良いように解釈する悪魔の実」でも食べているに違いない。
 
それはそうと、横田滋さんと韓国野党党首の会談した日に「民潭と朝鮮総連の和解」のニュースをぶつけてきたり、今回の花火遊びにおける騒ぎを見ていると、アメリカはもちろんの事、日本の世論・特に横田さんを含めた家族会の動きに釘を刺そうと躍起になっているように思える。
 
そこで気になってくるのが、このニュース。
◆電脳補完録ー別館「北朝鮮は被害者2人を返すつもりだった?」
(http://nyt.trycomp.net/modules/weblog/details.php?blog_id=175)

4月10日頃、実は北朝鮮は2名の拉致被害者の帰国発表を準備していた。
4月10日がどういう日だったかというと、めぐみさんの夫のDNA鑑定結果がわかって、東京で民間の国際会議が開かれていて、北朝鮮から金桂冠外務次官らが来ていた。彼らはその場で発表する準備をしていた。

国際政治学者である青山繁晴氏の発言。北朝鮮は日本に向い、米国の金融制裁の仲裁を条件に2名の拉致被害者を返すと言ったそうだ。しかし本当に、北朝鮮は日本にそのような(アメリカを翻意させるような)外交能力があると思っていたのだろうか。否、だろう。結局、その二名の帰国発表を潰す形で安倍さんがDNA鑑定結果公表を計画したという事になるが。この「きこりの日記」とは全く逆の立ち位置の、小泉首相のこれまでの訪朝を評価している「minow175の拉致事件北朝鮮情勢のブログ」はこのエントリー「二人生存情報・・政府は早急に発表すべし。」で、小泉政権及び安倍氏の“秘密”外交を批判している。

官邸は、遅くともあと一ヶ月以内には、粛々と事実を発表しなければ、秘密主義の批判を強く受けなければならない。身元情報の要求をするにしても、誰だか分からないほうがおかしいのであるから、北が身元も明かさないようであれば、早急に発表し、国民の強い怒りと要求をもってして奪還していくべきであろう。取引をするような事例ではないはずだ。
 
北朝鮮が核放棄の決定をしようがしまいが、六カ国協議に無条件で出席しようがしまいが、生存を隠したと言う平壌の致命的な事実は消えないのだから、それを何時までも隠すのは、金政権の利になっても、日本の利にならない。発表が義であり、隠蔽は北の利である。
 
発表し、北が動かなければ、経済制裁断行も辞さず、段階的に制裁を実行していくしかあるまい。発表し、世論の審を問う、それが民主主義であり、正論である。

これまでこのブログが重ねてきた主張には嫌悪感を覚えるものが多かったが、この部分に関してだけは強く同意出来る。しかしながら、安倍氏を「小泉総理の全てを継承すべき改革派保守(何という矛盾した言葉だろう!)政治家」と絶賛する勢力も、こうしたリベラルの立場から冷めた目で見ている人のどちらも、何故「安倍氏官房長官としての権力」と「小泉首相安倍氏への信頼」を信じて疑わないのだろう。それほど安倍氏に権力が集中しているのなら、そもそも「二名の帰国発表を潰す形」にする必要は無いのである。こうした形を取らざるを得ないという所に、私は安倍氏の立場の弱さを感じてならない。
 
何度も自分の日記を引用して恐縮だが、
◆繰り返される宮廷政治
(id:kikori2660:20041004#p3)

細田の以前に官房長官を務めていた福田康夫の辞任劇。“年金未納問題”で国会が紛糾している時に、責任を取ってあっさりとその座を退いてしまった出来事だったが、それは一説には、官房長官たる自分を差し置いて勝手に北朝鮮との交渉を推し進める飯島勲秘書官に反発、嫌気がさし抗議の意味を込めて官邸を去ったと聞く。その時に残した言葉がこれだ。

理論なき外交は道を誤るし、参院選のために外交を政治利用すべきではない。

媚中派と呼ばれる福田でさえ、政治家としての最低限(?)のモラルは持っていたというべきか。小泉信者は売国奴の福田が入閣しなくて良かった、などと言っているが小泉はそれ以下なんですがどうなんですか?ああなるほど無視ですか。

この当時にあった、権力の二重構造状態が今もなお、続いているのではないかと考えている。つまり安倍晋三を抜きにしての、二元外交が副官房長官時代からずっと存在している事にはあまり目を向けられていない。いや、例えば去年の中国軍原潜による領海侵犯事件や、今年の竹島調査に関する韓国との軋轢などの、小泉政権の失策をフォローする目的の場合のみ、利用される。
 
「愛国的な小泉首相は公明正大な外交政策を行うとしていたのに、売国的な政治家や外交官僚が邪魔をした為にうまくいかなかった。責められるべきはその連中であって、小泉さんを批判せずに応援しないともっと酷い状況になる」と。
 
本来、そうした閣僚や外交官僚を抜擢した責任は、ひとえにその政権にある。その事実に目を閉ざし、都合の良い解釈を繰り返す人間に限って「小泉政権とその支持者は、理想論に陥らぬ現実主義者である」と評価する。しかし「油濁法が形を変えた経済制裁である」と絶賛していた騒ぎを見よ。「バンドン会議における謝罪演説は中国を逆に追い込んだ」と褒め称えていた過去を思い出せ。それが招いた結果はどうであったか。ことごとく現在の外交の失策をもたらしたではないか。