小泉政権の正体

朝鮮労働党幹部「まだ撃つ」独占インタビュー
(http://www.zakzak.co.jp/top/2006_07/t2006070610.html)

「あくまで実験、他国もやってる」
 
北朝鮮が中長距離弾道ミサイルテポドン2号」など7発を日本海に発射した問題で、夕刊フジは6日までに、朝鮮労働党幹部への文書による独占インタビューに成功した。このインタビューで党幹部は「ミサイル発射は今後も続ける」と再発射を予告し、日朝平壌宣言を破ったのは日本だ」と言い放った。北が国際社会から孤立感を深め、狂気の暴走に拍車がかかる危険性もある。

感の良い人は昨日のニュースでも太字にした部分に注目していると思う。俺の言いたい事分るよね?ウチに帰ってからゆっくり触れます。
 
追記:「日朝平壌宣言を守るべきなのは日本じゃなくて北朝鮮の方だろ!何を馬鹿げた事を言ってるんだ?」とツッコミを入れたい方もおられるだろう。いつもの北朝鮮側のおかしな論理を聞き慣れている人は特に。しかし、その意味をよくよく考えると大きな問題を含んでいる事に気が付くはずだ。
 
増元照明からのメッセージ「妙に納得のいく記事」2004.12.20
(http://www.interq.or.jp/power/masumoto/ms1.html)

週刊文春」(12月23日号)の記事で妙に納得したものがありました。
 
2002年9月17日「日朝首脳会談」前に、日本政府と北朝鮮政府の間には、会談後半年で「国交の樹立」を行い、「多額の経済協力」を実施する約束があった
 
というものです。私は、昨年正月過ぎから「北朝鮮政府」が言っていた「約束が違う」という言葉。皆、「帰国した5人を戻さない」ことを捉えて解釈していた方が大半だったろうと思う。しかしあまりに北朝鮮がしつこく「約束がちがう。約束が違う。」といっていたので何か釈然としないものを感じていたのであるが、やはり北朝鮮は「5人」のことではなく、9.17「日朝首脳会談」開催の見返りに日本政府が約束していた「国交正常化」の履行を言っていたのである。だから、あんなにもしつこく「約束がちがう。」と言っていたのである。確かに「北朝鮮政府」は、「約束が違う」の前に「5人を戻さないということは」というフレーズを言っていなかった。ただ、「約束が違う。」といっていた。あれは、暗に「小泉首相よ、約束通り正常化交渉の再開と国交の樹立を成し遂げろ」という言葉を投げかけ、田中均小泉首相に「約束の履行」を迫っていたものではなかったか?あの時感じていた違和感が文春の記事で納得できるものとなった。やはりというか、日本政府が「金正日」との会談を設定して貰う時、必ずといって良いほど約束させられた「食糧支援」や「経済支援」があったのだと思う。2002.9017では、それが「日朝国交樹立」であり、「多額の経済協力」だったのではないか?北にとっては「5人の帰国」などそう大きなことではなく、経済協力こそ重要な案件だったがために、しつこく「約束不履行」を声高に言っていたのではないだろうか?私は、「首脳会談」の見返りは直後におこなわれた「朝鮮銀行」への公的資金導入であろうと考えていたのであるが、それだけではなく「国交樹立」まで約束させられていたのであれば、何をかいわんやである。

 
◆ミサイルめぐる北朝鮮外務省報道官発言全文
(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060706-00000030-yonh-int)

朝鮮は6日、外務省報道官の発言として、ミサイルを発射した事実を公式に認めた。発言は朝鮮中央通信記者の質問に答える形で行われ、「自衛的国防力強化のための軍事訓練の一環」と主張した。以下は北朝鮮が発表した外務省報道官発言の全文。
 
朝鮮民主主義人民共和国外務省報道官は、われわれがミサイルを発射したことと関連し6日、朝鮮中央通信記者の質問に次のように回答した。わが軍隊がミサイルを発射したことと関連し、現在米国とそれに追従する日本のような一部の国が、違反だ、挑発だ、制裁だ、国連安全保障理事会に付託だ、などと言いながら、なにか大きなことでも起きたかのように奔走している。今回行われた成功的なミサイル発射は、自衛的国防力強化のため、わが軍隊が正常的に行った軍事訓練の一環だ。 主権国家としてのわれわれのこうした合法的権利は、どのような国際法日朝平壌宣言、6カ国協議共同声明のような二国間あるいは多国間合意に拘束されない。われわれはミサイル関連技術輸出規制(MTCR)に加入した加盟国でもなく、したがってこの制度によるどのような拘束も受けることはない。1999年にわれわれが米国と合意した長距離ミサイル試験発射の一時凍結(モラトリアム)について述べるなら、それは米朝間で対話が進行する期間に限ったものだ。しかしブッシュ政権は、先の政権がわれわれと交わしたすべての合意を無効化し、米朝間の対話を全面的に遮断した。
 
すでにわれわれは2005年3月にミサイル発射一時凍結合意がどのような効力もないことを明らかにした。2002年にわれわれが日朝平壌宣言で日本と合意した長距離ミサイルの試験発射凍結も同様だ。われわれは日朝平壌宣言で、『宣言の精神に基づきミサイル発射の保留を2003年以降さらに延長する意向』を示した。これは日朝間の国交が正常化され、われわれに対する日本の過去清算が行われることを前提としたものだ。
 
しかし日本当局は、われわれが拉致問題を完全に解決してやったにもかかわらず、自らの義務はなにひとつ履行しなかっただけでなく、むしろ米国の対北朝鮮敵対視政策に積極的に便乗し、拉致問題を国際化するなどわれわれの善意を悪用し、日朝関係全般を原点に戻した。こうした中でわれわれがこれまでミサイル発射を留保してきたことは大変な度量の表示だ。2005年9月19日の6カ国協議共同声明は、朝鮮半島の非核化実現のため各国がすべき義務を規定している。しかし米国は共同声明が採択されすぐにわれわれに対する金融制裁を実施し、これを通じた圧迫をさまざまな面から加えており、われわれを標的とした大規模な軍事演習のような脅威で共同声明の履行過程を全面的に妨げている。
 
こうした中でわれわれだけが一方的にミサイル発射を保留する必要がないというのは、だれにとっても明白だ。事態がこうなったにもかかわらず、わが軍隊が自衛のため正常的に行うミサイル発射が、地域情勢を緊張させ、対話進展を妨げているという主張は完全に現実から目をそらした無理強いの論理だ。力の均衡が破壊されるとき、不安定と危機が造成され、戦争まで起きるということは歴史の教訓であり、今日のイラク情勢が見せる国際関係の冷酷な現実だ。万一われわれに強大な自衛的抑止力がなかったなら、米国は、悪の枢軸、核先制攻撃対象に指定したわれわれを何回も攻撃しただけでなく、朝鮮半島と地域の平和が完全に破壊されていたはずだ。結局われわれのミサイル開発と試験、生産と配備は、北東アジア地域の力のバランスを保障し、平和と安定を保障する主な要因となっている。われわれがミサイル発射について事前に通報しなかったと、挑発だなんだと言うことも言語道断だ。われわれと交戦関係、技術的に戦争状態にある米国が日本と組んで、すでに1か月前からわれわれがミサイルを発射すれば迎撃すると騒いでいる中で、彼らにミサイル発射をあらかじめ通報することは実に愚かなことだ。米国と日本はわれわれの周辺で多くのミサイルを発射しながら、一度でもわれわれに通報したことがあるだろうか。6カ国協議の共同声明で公約した通り、朝鮮半島の非核化を対話と交渉を通じ平和的に実現しようというわれわれの意志は今も変わりがない。しかし、わが軍隊のミサイル発射訓練は、最初から6カ国協議とは無関係だ。わが軍隊は今回と同様に今後も自衛的抑止力強化の一環としてミサイル発射訓練を継続していくだろう。万一だれかがこれに文句をつけ圧力を加えようとするならば、われわれはやむを得ず他の形態のより強硬な物理的行動さえ取らずにはいられないだろう。

「金英男さんと家族の面会」「横田めぐみさん死亡の念押しで拉致問題終結狙い」そして「テポドン発射」とアメリカの独立記念日を睨みながら起こした北朝鮮の行動は、やはり主に日本を狙ったものではないか。ニュースなどでは北朝鮮の専門家などが“政府と軍の確執”“軍の暴走”を口にするが、個人的には見事な(ろくでもないけど)連携プレイのように思える。そして拉致被害者家族の増元照明さんがずっと以前から指摘されているように、小泉政権が日朝国交正常化への欲を捨てられず、自らの外交政策の失敗を認めぬ事こそが、現在の事態を招いているのだ。今回の、北朝鮮によるミサイル発射の意図を一言で表現すると「横田めぐみは死んだニダ!小泉よ任期切れ前に早くこっちに来て、とっとと国交正常化そして経済援助するニダ!」という事なのだ。言い切っても良い。もし、日本人が金英男さんの記者会見、あの茶番劇を信じ込み、めぐみさんの死亡を納得してしまっていたならば、北朝鮮はミサイルを発射しなかったはずだ。
 
◆首相「北にプラスないが、今後も発射否定できず」
(http://www.sankei.co.jp/news/060705/sei107.htm)

また、ミサイル発射凍結をうたった日朝平壌宣言に違反していることについて「(同宣言は)政治宣言だ。極めて遺憾だ。自らの利益を考えて、日朝平壌宣言を順守し、違反しないようにしなさいと働きかけをするだけだ」と北朝鮮の自制を求めた。

ミサイルが発射された以上、当然、この宣言が無効化されたものだと考えるのが普通だが、やはりこの首相はマトモじゃないらしい。外交評論家の森本敏氏はこう言う。

「そもそも今回の北朝鮮の行為は日朝平壌宣言に違反しているのだが、本来ならば宣言を直ちに破棄すべきだ。しかし、平壌宣言は小泉政権の外交上の得点になっており、日朝関係のすべてのベースとなっている。日本政府としては簡単に破棄したくない事情がある。日本ができるのは厳重抗議することしかないが、相手に無視されている。日本の外交はこのジレンマに陥っているといわざるを得ない」

このジレンマを脱し、残りの拉致被害者奪還の為にはまず、日朝平壌宣言の破棄を宣言する事。これは以前からこの日記で主張していた事である。
 
◆日本政府は日朝平壌宣言の破棄を明確にせよ
(id:kikori2660:20060303#p1)

一昨日・昨日の日記に記した通り、小泉首相の三度目の訪朝の可能性は消えていない。それどころか積極的に北朝鮮との国交正常化に突き進んでいる。今、行われようとしているのは、日本人拉致指令を下した金正日に免罪符を与え、この問題を封殺する事である。むしろ国交正常化を望んでいるのは日本の方であって、北朝鮮は国家を建て直す為の経済支援さえ受けられればそれで良いのだ。

 
◆日本政府は日朝平壌宣言の破棄を明確にせよ2
(id:kikori2660:20060304#p3)

既に、北朝鮮側から日朝平壌宣言の破棄を宣言されている。それに必死にしがみ付いているのは小泉政権の方だ。逆に、国交正常化による経済支援を心から欲する北朝鮮がここまで言ってのけるられるのは、日本側の足元を見ているからに他ならない。経済制裁を実行しない言い訳の一つである「日朝平壌宣言を履行させる為には、北朝鮮の反発を招く経済制裁はすべきではない」、この理屈は完全に破綻している。

 
さて、経済制裁をやるのやらないのって話はどうなったのかな?
北朝鮮経済制裁:国際的連携を優先し改正外為法適用見送り
(http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20060706k0000m010161000c.html)

政府は5日、北朝鮮への経済制裁で、改正外為法に基づく措置については今後の動向を見極めながら追加措置として検討するにとどめた。同法を適用すれば、北朝鮮への送金停止、資産凍結、貿易の停止などの措置が可能になるが、第三国を経由した送金や貿易による抜け道があり、日本単独での制裁は実効性が未知数。このため、まずは国連安全保障理事会での非難決議の採択などを求め、国際的な連携を優先させる考えだ。
 
04年2月施行の改正外為法は制裁発動の要件を「わが国の平和と安全の維持のために特に必要がある時」と規定。国連決議がなくても、日本独自の政治判断で制裁に踏み切ることができることになっている。
 
安倍晋三官房長官は5日の記者会見で、送金停止なども検討課題とする一方で、「北朝鮮がどう対応していくか。今後、安保理でどのような議論がなされるか。米国などと緊密に連携して理事国に働きかけていく」と述べ、当面は事態の推移を見守る考えを示した。

たぶん、これでおしまい。半年後には万景峰号も再び新潟港にやって来る事だろう。「拉致問題程度では経済制裁を発動せず、ミサイルを撃って来られても経済制裁したふり」。これが小泉政権の正体だった。この問題のおかげで逆に、安倍晋三が総裁選で勝つ可能性が益々上がったわけだけど。さて、首相就任後に良い意味で裏切れるか。非常に心許ないと思わざるを得ない。
 
◆北ミサイル発射 日本単独制裁の実効性は…?
(http://www.sankei.co.jp/news/060706/sei131.htm)

政府は「決定打ではないが、真綿で絞めるような効果が大きい。何より日本の姿勢を示すことが重要だ」(安倍氏)として、さらに北朝鮮への圧力を強める方針だ。

もう“真綿”はええちゅうねん。