日本がいつ「一つの中国を支持」したというのか

Irregular Expression「遅ればせながら日中首脳会談について」
(http://www.wafu.ne.jp/~gori/diary3/000517.html)

この事を中国側から再確認させたという事だろう。いや、もし中国側は「一つの中国しか認めない」という都合のいい部分だけを日本に追認させて戦争賠償は別の話という理論を展開しようという魂胆だったとしても、そんな事は知ったこっちゃない。もし中国が戦争賠償をグダグダ言い始めたのなら、「あれ、それって日中共同声明で放棄してましたよね?あの文章で日本は一つの中国を支持するって書いてましたよね〜?あれぇ〜?」ってなもんだ。

「日中共同声明」では、一言も「一つの中国を“支持する”」などとは書かれていません。

更に、この人は「不勉強な小泉首相は、「日中関係を定めた三つの文書」といわれても訳がわからずに目を白黒させたに違いない。」なんて憶測でモノを言ってるが、日中共同声明が含まれている意味を見逃すとは本当の勉強不足は天木氏自身だろ?馬鹿だなぁ。

この人こそ、本当に日中共同声明を読んで勉強したんでしょうか。当時(1972年)の日本政府が“支持する”ではなく、激論の末「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重」という表現に留めた苦労をご存知無いようだ。これ基本だから、マジで。自民党員ならもっと気を付けて貰わないとね。
 
以前に取り上げたが、ろぐさんのエントリー「国民大集会、町村外相のお粗末な歴史認識、首相の『謝罪外交』擁護のダブスタ」でも触れられているが、町村外相がフジ系「報道2001」で台湾独立に対して「日本は日中共同宣言に基づき『一つの中国、一つの台湾』を支持しない」と語った」そうである。過去に一体どれだけ、日本に限らず各国政府要人がその「一言」に気を遣ったか思い出すべきではないか。
 
◆米中台・解かれたキッシンジャーの呪い
http://tanakanews.com/c0318china.htm
田中宇論文を紹介するのもアレだが。

1.台湾の「独立」を支持しない
2.「二つの中国」と「一つの中国、一つの台湾」を支持しない
3.台湾が主権国でなければ参加できない国際機構への加盟を支持しない

このクリントン中共政府と交わした「三つのノー」が台湾を苦しめてきた事はかなり有名な話だ。それに対し、大きな政策転換を図ってきたのがブッシュ大統領「『一つの中国』の政策に危害を及ぼす米台関係調整」という中共側のこのサイトの記述の通り、台湾を「台湾共和国」*1と呼んだブッシュの演説を非難している。それぐらい「支持する」という間違った解釈を、外相たるものが表明するとはあまりにも軽率だ。
 
ここ(id:kikori2660:20050426#p3)の20番で触れた通り、今回の日中会談で「一つの中国の支持」という約束を交わしたのなら重大な政策転換であり、[http://www.emaga.com/bn/?2005040078641511003427.3407:title=
「【抗議】中国の立場を日本政府の立場として垂れ流しにした町村外相」]として、台湾独立派が怒りを覚えるのは当然の事だ。単なる町村外相の勘違いである事を痛切に望む。

*1:「Republic of Taiwan」